ガルミッシュ・パルテンキルヒエン Garmisch-Partenkirchen
バイエルン州
人口は約27,000人
概要
アルプス山中のリゾート地で、時のナチス政府がこの地に1936年開催予定の冬季オリンピックを誘致しようとしたところ、街の規模が小さく開催地の基準に満たなかったことから、基準を満たすように2つの街を合併することとなった。
合併に際して住民の多くは反対だったようであるが、政府の強力な主導で1935年、冬季オリンピック開催を前に、ガルミッシュとパルテンキルヒェンが合併して現在の街となった。
鉄道線路を挟んで西側、登山列車駅があるガルミッシュ、東側、バスターミナルがあるパルテンキルヒェン2つの街が合わさって出来た町である。
以来町の名前はバイエルンのウィンタースポーツの代名詞になっている。
オリンピア・アイススタジアムは以前はスポーツ競技場としての機能だけしかなかったが、現在はカルチャーイベント会場としても有名である。
冬にはスキー、夏はドイツ国内最高峰のツークシュピッツェ山(2,964m)Zugspitze をはじめとする登山やハイキングでにぎわう。大自然に囲まれたバイエルン風のかわいらしい街並みが魅力。
パルテンキルヒエン側の二千年以上の歴史があるルートヴィッヒ通りは、飲食店や小さな店が多く、買い物客やウィンドウショッピングの人で賑わっている。
ノイシュバンシュタイン城やリンダーホフ城などドイツアルプスへの交通の起点としても便利な場所にある。
作曲家ヒャルト・シュトラウスは1949年から最期までこの町に住んでいた。
有名な『アルプス交響曲』はここで作曲された。
-毎年6月には、名誉市民である大作曲家を偲んで「リヒャルト・シュトラウス音楽祭」が開催される。
この町の周辺にはドイツでも名だたる観光地が沢山ある。
受難劇が上演されることで世界的に有名なオーバーアマガウ Oberammergauやルートヴィヒ2世が愛した城の一つ、リンダーホーフ城 Linderhofなど、一日で十分巡ることができる。
パルトナッハクラム峡谷では、急流が狭い谷をごうごうと泡立って流れ、高さ68mのところにある鉄橋からの眺めは印象的で、ハイカーに人気のあるコースとなっている。
アクセス
鉄道
ミュンヘン中央駅からミッテンヴァルトMittenwald方面行き普通列車で約1時間50分でガルミッシュ・パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchen駅。30分ごと。
市街地
パルテンキルヒェン Partenkirchen
ガルミッシュより歴史は古く、その起源は古代ローマ時代にさかのぽる。
当時の痕跡はほとんど残っていない。
町のメインストリートはルートヴィヒ通りで、古い家が並んでいる。
ガルミッシュ
パルテンキルヒエンより歴史は浅いが、それでも最初に記録に登場するのは790年になる。
メインストリートは、より新しい感覚で土産物などを売るしやれた店が連なる。
中心となるのは、リヒヤルト・シュトラウス広場 Rithard・Strauss・Platzで、カジノ、クアハウスなどの施設があるアクティヴ・センターなどがある。
見どころ
(ガルミッシュ地区)
聖マルチイン教会 St.Martinskirche
周辺にまだ昔の農家がよく残されているロイザハ川Loisachほとりにある。
後期ゴシック様式の円天井が、たった1本の中央支柱に支えられている。
長い間、埋もれていた15、16世紀の壁画に日の目が当てられ、修復が行われ、美しい「聖グリストフォルスChristophorusの巨大な像および受難記からの場面」が再現された。
この教会のあるあたりの家の壁には「だまし絵」が描かれている。
オリンピック・スケート競技場 Olympia-Eisstadion
三つの人工スケートリンクと、総面積6500㎡の競技場。観客1万2000人収容。アイススケート選手権大会やホッケーの試合観戦に使われている。
夏季もオープンしている。
(パルテンキルヒェン地区)
聖アントン巡礼教会 Wallfahrtsirche St.Anton
1708年に聖別された教会。
八角形の身廊に、1738年、卵形の二つ目の身廊力増築された。
その円天井は、J.E.ホルツアーHotzerのフレスコ画で飾られている。
哲学者の道 Philosophenweg
聖アントン緑地St.Anton Anlageを起点とする11kmの散策コース。
ヴァッテルシュタイン山脈 Wettersteingebirge とツークシュビッツェ Zugspitzeなど、周囲の峰々が広々と眺望できる。
リヒヤルト・シュトラウス記念館 Richard Strauss Institut
リヒヤルト・シュトラウスが1949年に亡くなるまでこの町で長く暮らしたことから設立されたもの。
「音の博物館」では、彼の曲のさわりを鑑賞できる。
スキー競技場 Skistadion
ジャンプ台が2つあり、8万人の観客を収容する。
周辺の見どころ
ツークシュビッツェ Zugspitze
ヴァンク山 Wank
標高1780m
ロープウエイで20分。
出発点はパルテンキルヒェン北のシュツツェンハウス Gaststatte Schutzenhaus。
山頂ヴェッターシュタイン山脈と、そのはるか下のガルミッシュ=パルテンキルヒェン盆地が眺望できる。
森や草原をめぐって小道がたくさんあり、周囲の山々を見晴らせる。
パルトナッハ渓谷 Partnachklamm
約2時間のハイキングコース
パルテンキルヒェンのスキー競技場から、グラーゼックのロープウエイの山麓駅に行き、「森の家クラーゼックForsthaus Graseck」まで上る。
そこから小道が渓谷に通じている。谷の岩場を切り開いた道を行くと、滝の轟音としぶきを間近に浴びる物凄い場所を2ヶ所通る。
アイプ湖 Eibsee
西に8km。ツークシュピッツェへ行くときに利用する登山電車で行くことができる。
約2時間で湖を一周する。
ツークシュビッツェのふもと、高度約10OOmのところに水をたたえる穏やかな湖。
周りにはすばらしい森の景色が広がっている。
ミッテンヴアルト Mittenwald
東に20km。
アウクスブルクとヴェローナを結ぶ昔の通商路沿いの国境の町。
ハウプトシュトラーセHauptstraBeに並ぶ壁画で彩られた家々が美しい。
ゲーテはミッテンヴァルトを「生きた絵本」と評したが、この町は美しいばかりでなく、もう一つの側面がある。
イタリアに住み、巨匠ストラディヴァリウスのもとでヴァイオリン製作を習得したミッテンヴァルト出身のマテイーアス・クロッツMatthiasKlotzが、1684年、故郷にヴァイオリン製作技術を導入し、ヴァイオリンの町としての地位を確保したのである。
教会の足下に、彼の記念碑がある。今日でも十数人のヴァイオリン製作者が町におり、またヴァイオリン製作学校やヴァイオリン製作・郷土博物館Geigenbau-undHeimatmuseumが、この町の伝統を守っている。