ドイツのホテル事情
ドイツのホテルは
ビジネスマン向け質実剛健型ホテルが中心。
ドイツはフランスのパリやイギリスのロンドンのように人口が集中している並外れた大都市が存在しないで、各地の都市が分散している。したがってどこの都市も需給バランスからいってホテルの数もパリやロンドンのようには多くない。
戦災で古い建物が破壊されてしまっているので、どこの都市も中世風のホテルはない。
無駄なく、合理的にできている。
多くのホテルがビジネスマンをターゲットにしているため、客室は清潔だが、ホテル内にエンタテイメント性がない。レストランとバーが1つあるだけのところが多い。
大都市を中心に、大型のホテルがオープンしているが、ビジネスマンの往来も多くなってきている。
ベルリンは人気上昇で不足気味
東西統一と首都機能の移転によってベルリンは人の往来が多くなり、ここ20年でホテルの数も増しているが、全体としては不足気味状態が続いている。大規模な見本市や国際会議が増えて主要ホテルの確保が難しい時期が多くなっている。
見本市、国際会議期間は高騰し、予約も難しい。
どこの都市も見本市やコンベンション誘致が盛んで、大きな見本市会場(メッセ)が建設されている。そしてその運営は民間ベースで行われているため、出来るだけ空いている期間を少なくしようとあれやこれや企画する。
伝統的に長く続いている業界の見本市には相変わらずの人気があり、市内のホテルを完璧に関係者が抑えてしまうほどの規模のものである。
特に著しく成功率の高いIT関連のものは大型見本市が多くなってきている。
例年成功を収めている評判のいい見本市の期間はホテルのルームレートが高騰する。
高いだけでなく、混雑するためサービスも低下し、食事もままならない。
傾向と対策
見本市時期を避けて旅行のプランを立てる。
直接、国際会議や見本市見学に関係のない一般の旅行者は旅行のプランを立てるときに、開催時期をあらかじめ調べて混雑が予想される都市を避けていくようにする。
イベント開催時期などは観光局で調べられる。
海外旅行に精通した専門の旅行業者、ツアーオペレーター(手配会社)などでもわかるところがあるが、そういう業者を探すのは難しい。
出発日や日程を決めて旅行会社に相談をして手配してもらってすぐに回答が来なかったらホテルが混んでいると思う方がいい。
ツアーでも確保できずに近郊に宿泊する場合がある。
パンフレットにあらかじめ、どこのホテルに宿泊すると明記してあるツアーでは、ホテルが確保されているが、どこに宿泊するかわからず、「または」を連記し、いずれかに泊まるなどと記しているツアーでは、繁忙期は郊外・周辺の町に宿泊することが少なくない。もっとも、数時間の観光だけで、ただ泊まるだけで翌朝早く次の都市へ移動するような忙しいツアーでは、余りこだわる必要がないかもしれない。
イベント参加をするときは、鉄道沿線の近郊で早めに予約を
大規模の産業見本市などでは市内の主要ホテルはほとんど主催者側が押さえてしまっているので、確保するのが難しい。
特に出展サイドの関係者は人数も多くなるので、早めに近郊で押さえておくべきだ。
東京のことを考えれば、郊外1時間くらいの所なら全く問題はないだろう。
ドイツは鉄道が発達しているので、幹線ルート上なら少し離れた次の年までは短時間で行くことができる。
毎年4月はじめに開催されるドイツ最大の工業見本市ハノーバーフェアは最もホテル事情の厳しいが、海外の多くの企業関係者は早くから郊外の小さなホテルを確保している。
バイヤー・見学者もホテル事情については十分知り尽くしているので、早くから列車で1時間あまりのハンブルグなどを確保している。
ハノーバーだけでなく、デュッセルドルフ、ケルン、フランクフルト、ベルリンなどいくつもの都市で1~2年毎の大きな見本市が開催されている。
国際会議では特定ホテルが取れないことがある。
大きな国際会議が行われるときには、開催会場周辺の限られたホテルはそのための指定ホテルとして全館ブロックされてしまっていることがある。
特にホテルの数の少ない中小都市や大学・研究機関のある町は要注意だ。
時には市内のすべてのホテルを主催者が押さえてしまっていることがある。
会議の出席者は、主催者側の用意したホテルを申し込むべきだ。
お祭り、音楽祭などにも注意
9月後半からのミュンヘンのオクトフェスト(ビール祭り)の時期や7月のバイロイトの音楽祭の時期などはホテルのレートが跳ね上がってしまう。
ドタキャンもある「見本市・国際会議」
出展参加企業などを募るが集まらないということがある。
開催1~2ヶ月前になって急遽見本市・国際会議そのものを全面的にキャンセルしてしまうこともある。
せっかくデポジットを支払っても、イベントのキャンセルなら行く必要がないものにとってはつらいことだ。