バクー Baku
概要
カスピ海西岸に突き出したアブシェロン半島に位置し、市街は半島南岸のバクー湾に面するように広がった港町である。
19世紀後半帝政ロシア時代に大規模な油田(バクー油田)が見つかると石油の生産地として世界中から人と資本が集まり、一気に地域最大の都会へと変貌してきた。
バクーは「風の街」と呼ばれている。
気候は寒気と暖気がぶつかることで起きる強風が時折吹き付ける。海岸は美しく、晴天が多く、乾燥している。近郊には温泉や鉱泉がある。
城壁に囲まれた旧市街と帝政ロシア時代にその周囲に築かれた新市街とに分かれる。さらのその周囲、北から東にかけての平地から丘陵の斜面一帯にソビエト連邦時代につくられた市街が広がっている。
旧市街は迷路のような細い小路と古い建物が密集している地区である。
現存しているほとんどの城壁や塔は、1806年のロシアの征服後に補強されたものである。
この旧市街と、シルヴァンシャー宮殿、乙女の塔 は2000年に世界遺産(文化遺産)に登録された。
旧市街周辺では近代化が進み、市内には数々のショッピングモールやブランドショップが軒を連ねている。また、人工島には、2018年頃に世界一の高さを誇るアゼルバイジャン・タワーが完成するという。
アクセス
空港
ヘイダル・アリエフ国際空港 Heydar Aliyev International Airport(空港コードIATA=GYD)
市内から約24キロ。
そのほか、
ザブラット空港 Zabrat Airport(空港コードIATA=ZXT)
があるが、一部の国内線、貨物便、不定期便の未就航している。
見どころ
乙女の塔 Qız Qalasi
高さ28m、厚い石壁に包まれた要塞。5世紀ごろに拝火教寺院として最初に塔が建てられたもので、12世紀に建てられて楕円形の見張りの塔は要塞の役割も果たしていた。
望まない結婚を押し付けられた王女が、悲劇の王妃の伝説
塔の上からカスピ海に身を投げたという伝説からこの名がついた。
旧市街地にあり屋上へ上ることができる。市街を一望できるので人気のスポットで観光客も多く訪れる。塔の中にはバクーの歴史を見れる博物館になっている。
2000年、シルヴァンシャー宮殿と共に世界遺産に登録されている。
ハジンスキー邸 Hajinski Residence
乙女の塔の隣にある、1912年に建築されたゴシック様式の建物。
1944年、仏レジスタンス運動のリーダーであるドゴールが、スターリンとの会談のためモスクワへ向かう途中、この邸宅に滞在したという。現在はマンションとして使用されているため、内部見学はできない。
シルヴァンシャー宮殿 Shirvanshakhs Palace(城壁内)
バクーでもっとも有名な観光スポット。
15世紀に建造され、16世紀までこの地を支配したシルヴァンシャー朝の王宮として使用されていた。
王のモスクや王族・聖者の霊廟、浴場跡、地下墓地などを見ることができる。
2000年のバクー大地震により一時は危機遺産となっていたが、その後の復旧工事で危機遺産リストから脱している。現在、1920年に改修された宮殿部分が、博物館として一般に公開されている。
28人のコミッサール広場
ガシム・ベイの浴場跡 Gasim-bey Bath House
17世紀に造られた公衆浴場です。現在は、ハーバル薬局の博物館になっている。
ムハンマド・モスク Muhammad Mosque
11世紀に創建された、城壁内最古といわれるミナレットを持つモスク。このモスクは城塞都市の一部として、ユネスコの世界遺産に登録されている。
シェマハ門 Shemakha Gate
旧市街を囲む城壁の一部をなしている。かつてキャラバンサライが通った、12世紀から14世紀頃に建造された石造の門。門には旅人の無事を祈る言葉が綴られている。
キャラバンサライ(隊商宿跡)
カースム・ベクの隊商宿やモスク、ムルターニー人(インド商人)やプラハ人(中央アジア商人)の隊商宿
中央市場 Taza Bazaar
野菜、ナッツ類、乳製品、肉類、茶葉などの食品を中心とした店が、軒を連ねる異国情緒漂うバザール。お土産用キャビアも味見して購入することができる。
国立アゼルバイジャン歴史博物館
National Museum of History of Azerbaijan
石油王ハジ・ ゼイナラブディン・タギエフの邸宅として建てられた建物。古代から現代までアゼルバイジャンの歴史が、紹介されている。2008年春にリニューアルオープンした。
11:00〜18:00、日曜日休館
www.azhistorymuseum.az
バクー国立人形劇劇場 Baku Puppet Theatre
海岸公園に位置している劇場。
外見は真新しいが、建物自体は1901年に石油で成功したムサナギエフがポーランド人の建築家に造らせたもの。 1994年から人形劇場として使用されている。
www.kuklateatri.az
絨毯と民族工芸博物館 Azerbaijani State Carpet and Applied Arts Museum
旧レーニン博物館として使用されていた、ギリシャ神殿のようなコロネードのある建物。国内だけでなく、イラン北部やロシアのダゲスタン地方から収集された絨毯が展示されている。
アゼルバイジャンの歴史を示す古い写真が集められた独立博物館 Museum of Azerbaijani Independenceと、劇場俳優の衣装や写真が展示された劇場博物館 Azerbaijan State J. Jabbarli Theatre Museumも併設されている。
月曜休館
www.museumcenter.az
ムスタファザデ博物館 Vagif Mustafazade House Museum
アゼルバイジャン出身のジャズ ピアニストであり作曲家、ヴァギフ・ムスタファザデが住んでいた家。現在はムスタファザデのゆかりの品を集めた記念博物館として公開されている。月曜休館
オペラバレエ劇場
歴史を感じさせる、重厚な造りの劇場です。 西欧やアゼルバイジャンの演目を中心としたオペラバレエの公演が行われています。 料金は公演内容によって異なりますが、10~30マナトと日本に比べてお手頃です。
アゼルバイジャン国立オペラ・バレエ劇場 Azerbaijan State Academic Opera and Ballet Theater
www.azerbaijan.travel
海岸公園 Seaside Park
カスピ海に沿って、弧を描くように続く海辺の公園。 緑の多い絶好の散歩道で、2010年にはショッピングモール Park Bulvarがオープンしている。いくつものカフェやフードコートなどもあり、市民の憩いの場となっている。 0mほど南下したところで借りられます。
犠牲者の追悼モニュメント Shahidlar Khiyabani
バクー市街やカスピ海を一望する丘の上にある。ここには1990年1月20日のソ連軍のバクー侵攻や、1991年から1994年のアルメニアとのナゴルノカラバフ紛争の犠牲者を悼んだもの。以前はキーロフ公園と呼称されていた。
近郊
ゾロアスター教(拝火教)寺院
古代の火が燃え盛る
アテシュギャーフ拝火教寺院 Ateshgah Fire-Worshippers
バクーの東30㎞、車で約40分にある。
18世紀に商人としてこの地に住んでいた、パルシーと呼ばれるインドのゾロアスター教徒によって造られた寺院。地表に沸く天然ガスが自然発火したことから、火を崇拝するゾロアスター教徒に聖地として見なされていた。
イスラムの流入によってこの地を追われたゾロアスター教徒がインド西北部に逃れ、その地でシヴァ女神信仰と混合するなど、 ヒンズー教の影響を受けつつ引き継がれた拝火教が、パールシーと呼ばれるその信者によってアゼルバイジャンに再びもたらした拝火教の寺院である。現在、ゾロアスター教寺院としては機能していない。
ヤナルダー Yanar Dagh
バクーから北へ約7キロ。
「燃える山」という意味で、アテシュギャーフとは異なり、石油採掘場近くにある山の斜面から自然に湧きだす天然ガスが広い範囲に渡って燃え続けている。公共の交通手段はない。
ピンクの湖 Pink Lake
バクーの北西、車で30分ほどにある湖。
水に含まれているヨード成分により湖面がピンク色に見える。
塩の生産が盛んで、湖の周りにはたくさんの塩山がある。