ドイツのレストランいろいろ
レストランの種類
ドイツ料理はいずれも分量が多いので、日本人にとって毎食とるのは重過ぎるといえる。
例えば、朝食がホテルのビュッフェスタイルの場合は、昼食をテイクアウトなど軽めのものにして、夕食はレストランで落ち着いた食事をとる、というように体調に合わせて調節したいところ。
レストラン Restaurant
ドイツ料理を食べさせる庶民的なレストランは、気さくでカジュアルな雰囲気の店が多い。料理は、一般的には前菜またはスープ、メイン料理、デザートと注文するが、ドイツ料理はかなりボリュームがあるので、かならずしも品数にはこだわる必要はない。人気のあるレストランは星が無くても予約してください。
ケラー Keller
地下貯蔵室の意味で、ワインが豊富にそろう料理店がワインケラー。また、古い街には街の中心部に市庁舎Rathausがあり、その地下や周辺にラーツケラー Ratskellerがある場合が多い。ここでは、地元の代表的な郷土料理を味わうことができるので、レストラン選びに迷ったときには試してみたい。
ガストシュテッテ Gaststatte
地元の人が多い大衆食堂の雰囲気をもつ。レストランより気軽に食事できる。家族経営のところも多く、奥の方のテーブルは、常連客専用となっていることもあるので注意。通常、テーブルにはクロスがかかってなく、紙のナプキンが用意される。なお、建物の上の階を宿として営業しているのはガストハウス Gasthaus とよばれ、こちらでもドイツの郷土料理や家庭料理を安く味わうことができる。
ビアホールとワインハウス
ドイツらしく、それぞれの店の自家製ビールとそれらに合う料理を楽しめる。ビアホールの中でも自家醸造のビールを出す店をブロイハウス Brauhaus という。とにかくビールとソーセージを食べたければここ。夏期には、中庭などを利用してビアガーデンを営業する店もある。また、一般にワインハウスではビールは置いていない。
カフェ・コンディトライ Cafe-Konditorei
自家製のケーキが食べられるカフェだが、ランチにはスープやオムレツなどの軽食を出している店も多い。軽い昼食を取りたい時などに手軽に利用できる。
その他にも日本でいうファミリーレストランに近いチェーンレストランや、カフェテリア形式のセルフサービスのレストランなどがあるほか、焼きソーセージ(ブラートヴルスト Bratwurst )や茹でソーセージ(ボックヴルスト Bockwurst )、ドネルケバブ(トルコ料理/肉のサンドイッチ)などが食べられるインビス Imbis (立食いスタンド)がある。
レストランの利用法
観光客の集まる都市、例えばミュンヘンやローテンブルクなどでは日本語や英語のメニューを用意している店もあるが、その他の都市やローカル向けのレストランの場合は、ドイツ語で書かれたメニュー Speisekarte (シュパイゼカルテ)しかないところも多い。迷ったら、「その日の定食 Tagesmenu (ターゲスメニュー)」を頼むとよい。前菜(もしくはスープ)とメインディッシュ、デザートで組み合わされていて、料金も比較的割安。ドイツのレストランの入口には、黒板などにこの「定食」や「おすすめ料理」を値段とともに書き出しているところが多いので、店選びの際にも参考になる。
気に入った定食がないときには、まずは、飲み物 Getranke(ゲトレンケ)を先に注文しておいてから、メニュー Speisekarte (シュパイゼカルテ)から食べたいものを選ぶ。
堅苦しく考える必要はない。前菜+メインディッシュ、または、スープ+メインディッシュ+デザートなど、好きなものを自分の食べられそうな品数で注文すればよい。
なお、メニュー Speisekarte(シュパイゼカルテ)の構成は、通常以下の様になっている。
前菜 Vorspeisen(フォアシュパイゼン)
スープ Suppen(ズッペン)
メインディッシュ Hauptgerichte(ハウプトゲリヒテ)
肉料理 Fleisch(フライシュ)
1)調理種類
グリル料理 Vom Grill(フォム・グリル)
フライ料理 Pfannengerichte(プファンネンゲリヒテ)
野鳥獣料理 Wild und Geflugel(ヴィルト・ウント・ゲフリューゲル)
2)素材種類
牛 Ochse(オクセ)
豚 Schwein(シュヴァイン)
仔牛 Kalb(カルプ)
鶏 Geflugel(ゲフリューゲル)、Hahn(ハーン)
羊 Lamm(ラム)など
魚料理 Fische(フィッシェ)
1)調理方法
フライ gebraten(ゲブラーテン)
蒸す blau(ブラウ)
「粉屋の娘風」(マス料理で言うとムニエル) Nach Mollerin Art
2)素材種類
マス Forelle(フォレレ)
舌ヒラメ Seezunge(ゼーツンゲ)
うなぎ Aal(アール)など
デザート Nachtische(ナッハティッシェ)
デザートはメインディッシュが終わり皿をさげに来た時に、あらためて選んで注文してもよい。デザートにはコーヒー Kaffee(カフェー)だけを頼んでもよい。また、ドイツにはデザート用のワインもあるので、もう少しゆったりしたい人にはおすすめ。
なお、レストランのウエイターはテーブルごとに決まっているので、席についた時に料理のメニューを持ってきた担当ウエイターに注文すること。また、ドイツでは、他のヨーロッパの国と同様、レストランでの食事はゆったりと楽しむ習慣なので、食べ終わったからといってせかせかと席を立たないのがマナーだ。
食事の支払いは、テーブルで行う。担当ウエイターに「お勘定を Rechnung,bitte (レヒヌング、ビッテ)」と伝えよう。通常は料金に税金とサービス料が含まれているが、サービスが良かった場合には、おつりの端数を残しておくとか、高級店なら支払金額の10%程度をチップとして加算すればよい。
ドイツの代表料理
日本人にとってドイツ料理のイメージというと、ソーセージがあげられるが、全体に非常に家庭的な料理が多い。また、その地方独特の郷土料理も種類が豊かである。全体に肉料理の方が種類も多いが、リューベックやハンブルクなど海に近い北ドイツの都市では、魚料理も名物。
また秋~冬の時期は、野鳥獣料理 Wild und Geflugel の季節で、鹿 Hirsch(ヒルシュ)や野ウサギ Hase(ハーゼ)など貴重な料理も味わえる。
レストランで食べられる主な家庭料理
肉料理
ザウアーブラーテン Sauerbraten
デュッセルドルフ周辺の料理。ワインや酢に4?5日漬けた牛肉を焼いて薄切りにしたもの。干しブドウ入りの甘酸っぱいソースをかけて食べる。付け合せは赤キャベツとなる。
シュニッツェル Schnitzel
仔牛肉を薄くたたいてカツレツ風にバターでカリっと焼いたもの。狩人風 Jaegerart は、きのこのソース、ツィゴイナーアルト Zigeunerart は、赤ピーマンのソース。皿からはみだしそうな大きさには圧倒されるが、意外に食べることができてしまうもの。豚肉を使って同じ調理をする事も多いSchweine Schritzel。
シュヴァイネブラーテン Schweinebraten
豚肉のソテー。脂身が少なくさっぱりとして食べやすい。
シュヴァイウネハクセ Schweinehaxe
豚スネ肉の骨付きグリル。ボリュームがあるので2人で1皿の注文をすすめる。パリパリに焼けた皮が特においしい。
ハルベス・ヘーンヒェン Halbes Hahnchen
鶏半分を意味する名前。少し塩味のきいた鶏のグリル。小ぶりではあるが、ドイツ人は一人で鶏の丸焼きを半分食べてしまう。ヴィーナーヴァルト Wienerwald というファーストフード店にもある。オクトーバーフェストなどのお祭会場でもお目にかかる料理だ。
リンダー・ルーラーデ Rinderroulade
野菜、ピクルスなどを芯にした薄切り牛肉のロール巻き煮込み。ブラウンソースがきいて栄養のバランスもよいといわれる一品。
魚料理
マッチェスフィレ Matjesfilet
酢漬けニシン。活きのよい北海のニシンを塩漬けにした後、酢でしめたもの。リンゴの薄切りやジャガイモの塩茹でとオニオンスライス、サワークリームをかけて食べる。6月が旬。
フォレレ・ミュレリン Forelle Mullerin
マスのバター焼き。カリッとした食感の皮が香ばしく、レモンを絞って食べる。肉料理に飽きてしまった時におすすめ。醤油を数滴垂らすとさらにおいしくなるという人もいる。
パスタ
シュペッツレ Spatzle
小麦粉をこねたドイツ風パスタ。シュトゥットガルト周辺、シュバーベン地方でよくつけ合わせとしてお皿にのっている。チーズをのせてオーブンで焼いたケーゼシュペッツレ Kasespatzle は立派な料理。「?ミット・シュペッツレ」としてメニューに載っていて、肉のソースで食べるシュペッツレはこれだけでもおいしい。
マウルタッシェン Maultaschen
シュバーベン地方のパスタ料理。ドイツ風餃子ともよばれるマウルタッシェンは、挽き肉やほうれん草などを包んだパスタ。イタリア風と違いトマトでは味付けをしない。バターで焼いて卵でとじたものや、スープ風のものなど店によって特徴がある。日本人の口に合う、胃に負担のかからない料理だ。
ケーキ
フランクフルタークランツ Frankfurterkranz
名前の通り、フランクフルト名物。一度、冠(クランツ)のような形に焼いてからバタークリームをサンドしてつくられる。
バウムクーヘントルテ Baumkuchentorte
日本でもなじみのあるバウムクーヘンをスライスして、スポンジケーキの外側にコーティングする。中にはクリームが入る。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ Schwarzwalder Kirchtorte
ドイツケーキの定番ともいえる「黒い森のサクランボのケーキ」。チョコレートクリームと生クリームが、上にのったサクランボとマッチした味を楽しめる。