ヴェッツラー Wetzlar
ヘッセン州
人口 約53,000人
概要
マールブルク Marburgの南西約40 km、ギーセン Giessenの西約 12 km、
フランクフルト Frankfurtの北 約60 km 、コブレンツ Koblenzの北東 約80 km、
ライン川の支流となるラーン川Lahn沿いにある小さな町。
17世紀末、神聖ローマ帝国の最高裁判所にあたる帝国最高法院がヴェッツラーに置かれた。
ストラスブール大学で法学を習得したゲーテは、法律家にさせたい父の強い意志でヴェッツラーの帝国最高法院に司法見習い生としてに送られることとなった。
この街に滞在している約5ヶ月の間に、舞踏会でシャルロッテ・ブッフと出会い恋に落ちてしまった。ところが、シャルロッテはすでに婚約者のいた。しかもゲーテの友人であるケストナーであった。
ゲーテは失恋の痛手を負ってヴェッツラーを去り、フランクフルトに舞い戻ってきた。
のちにこの時の恋の体験をもとに「若きウェルテルの悩み」が執筆された。
旧市街にはこの小説の登場する記念物がわずかばかり残されている。
この町をもう一つ有名にしているのは、カメラのライカの誕生の地であることだ。
ヴェッツラーで創業したが、一度郊外の町ゾルムスに本社を移転していた。100周年を迎えた2014年に再びヴェッツラーへ戻ってきている。
見学者は無料でライカの世界を堪能できるような施設になっている。
カメラのマーケットはほとんど日本のメーカーに席巻されてしまっており、また市場の変化もあって高額なライカを愛用するレベルは非常に限定的だが、それでもその地位を守り世界に君臨している。
市内にある「ライツパーク」のライカの本社社屋は、カメラのレンズや双眼鏡をイメージしたという円形のモダンな建物で、「World of Leica Experience」と題したミュージアムになっており、誰でも自由に見学できる。
アクセス
ヴェッツラーはローカル駅だが、フランクフルトからの直通列車も運行されている。フランクフルト Frankfurt (Main) Hbf
ヴェッツラー Wetzlar 直通がほぼ1時間間隔
そのほか、ギーセンGiessen 乗り継ぎ便もある。所要時間は約1時間20分
市街地
ラーン川Lahnの石橋を渡って旧市街に入る。川沿いに市壁の跡が残されている。
戦争で破壊された市街地を修復し、木組み建築が建ち並ぶ歴史的旧市街が再現されている。
旧市街にはいくつかの広場があるが、聖堂広場(バター市場)やシラー広場(旧フランツィスカナーホーフ)、コルンマルクト広場といった広場が中心となる。
シュナイダー塔またはゾイ塔として知られる防衛塔の遺構も見ることができる。
中でもコルンマルクトはゲーテがヴェッツラー滞在中にはコルンマルクト広場7番地の家に住んでいた。
旧市街の見どころ
ロッテハウス
ゲーテの小説ウェルテルの舞台1772年にゲーテがシャルロッテ・ケストナー(旧姓ブフ)と知り合いになった頃、彼女が11人の姉妹兄弟と住んでいた17世紀の家。
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテが18世紀末に目にした姿で復元された。
毎年世界中から何千人ものウェルテルファンがこれらの建物を訪れる。
イェルーザレム・ハウス
シラー広場のイェルーザレム・ハウスは美しい木骨組家屋である。1772年10月30日にカール・ヴィルヘルム・イェルーザレムがこの家でピストル自殺をしたことで有名になった。この事件がゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」の素材のひとつとなったという。
ライツパーク Leitz-Park
ブランド名「ライカ Leica」は、創業者のエルンスト・ライツ Ernst Leitzの名前とカメラ Cameraを組み合わせて生まれたものだ。
本社は1988年にヴェッツラー近郊の町ゾルムスに移転していていたが、ライカカメラが100周年を迎えた2014年、エルンスト・ライツ社発祥の地であるヴェッツラーへと戻ってきた。
本社社屋は、カメラのレンズや双眼鏡をイメージしたという円形の建物で、内部には「World of Leica Experience」と題したギャラリーになっている。
ライカカメラを使った写真の数々を通して、過去100年の歴史に触れることができる。
ライカカメラ第1号の「ウル・ライカ」をはじめライカの記念碑的モデルから今日のデジタルカメラまでの展示のほか、製造工程の一部がガラス越しに見学できる。
カメラショップもある。
ホテルもあり、ライカファンならここに宿泊して思う存分見学したらいいだろう。
アクセス
鉄道のヴェッツラー駅よりバス11番が旧市街経由で約20分 Am Leitz-Park 下車。