リンダーホフ城 Schloss Linderhof

バイエルン州

概要

オーバーアマルガウの西、約13km。
森に覆われたアマガウのアルプスの谷間にある。
もともとここはバイエルンの君主たちが、歴代の狩場としていたところ。
ルートヴィッヒ2世は、人跡稀な森の中の丘の中腹に、凝りに凝った小宮殿を建てさせた。
フランスの太陽王ルイ14世への憧れからフランス風の城を建てた。
規模は小さいながらも、格式あるフランス庭園に囲まれており、随所に変わった噴水をアレンジしている。夏には、城の前の噴水が30m以上もあがっている。

ロココ様式の建築、ルネサンス時代のイタリア調のテラス状の庭、それにイギリス風庭園などが混在している。
規模は小さいながらも随所にルートヴィッヒ2世の趣味がうかがわれる。

彼が手がけた3つの城(ノイシュバンシュタイン城、ヘレンキームゼー城)の内、唯一完成することができたのがこのロココ様式のリンダーホフ城であった。
王はオリエントの物語やドイツの英雄伝説に取りつかれていたが、18世紀様式で構想されたこの館は、洞窟とともに、ロマネスクな王の夢想の舞台装置となっていた。
城の裏手には、ワーグナーのオペラを想定したムーア風のあずまやや洞窟を作らせている。
ルートヴィヒ2世は、この城を静養の場として使い、訪問客を滅多に寄せつけなかったという。

城館内見学はガイドツアーのみで、チケットを購入すると見学時間が表示されている。
その時間までは、外観や、前の池の中に浮かぶように設置された黄金の像などを見ながら待機しなければならない。学生の夏休みシーズンの6月~8月は特に混雑するので相当待たされる。
城館内部はガイドの誘導で順路に従って進む。そのあと裏庭のあずま屋と洞窟に入る。
ワーグナーのオペラ「タンホイザー」に出てくるヘーゼルベルクのヴィーナスの洞窟と、がモデルとなった人工の鍾乳洞で、ルードヴィヒ2世が、幻想に浸っていたといわれる所である。

おおよそ2時間かかる。
ミュンヘンからの場合にはできるだけ早く出発しないと、待たされる時間が大きくなる。、

リンダーホフ城へのアクセス

バス

オーバーアマガウOberammergauから約30分、9606番と9622番1~2時間に1便。週末は4-5便ある。
平面上は近い位置にあるフュッセンとはオーストリア領に入って迂回しないといけない。
ツアーなどでは小1時間で巡るが、路線バスの便もない。
レンタカーや数人のグループでヴァンをチャーターしてミュンヘンからノイシュバンシュタインとリンダーホフ城を巡るといい。
ミュンヘンから定期観光バスで2つの城を巡るコースもある。

城館 Schloss

ルートヴィヒ2世がこの館を建てさせたのは1869年から1879年にかけてである。
その様式はイタリア・ルネサンスの第2期とバロックを結び合わせたもの。
内部で目を引くのは、ごてごての装飾で彩られ、ヴェルサイユをも凌ぐほどの贅美を尽した王の寝室、鏡の間、タピスリーを模した彩色壁布、ルイ14世、ルイ15世、ポンパドゥール夫人、デュ・バリー夫人などの胸像やパステル画などである。
天井からは、108本のキャンドルがついた重さ500kgの巨大なクリスタル・シャンデリアが吊りさげられている。
部屋の中には、夏に涼しく過ごせるように、人工滝が作られており、滝は窓の外に流れる仕組みだ。
食堂は、異常にプライバシーにこだわる王の性格と実験性が反映されていて、王が召使いと顔をあわせずに食事できるよう、食堂の中央にあるテーブルが下に沈み、階下の台所で食卓を整えられる仕掛けになっている。
館内は装飾の過剰が徹底している。

庭内 Park

小さな谷間の斜面を利用して、イタリアのヴィラのように、池や滝やテラス状の庭を整備した。
鮮やかな色の花々と数々の噴水が、この山あいの風景に思いがけない彩りを添える。
これに対して、横に並ぶ花壇は、刈り込まれたブナの生け垣や、ピラミッド型のツゲなどによって、フランス式庭園のタイプに属する。
大池の上、中央の軸緑に沿った見通しを閉ざすヴィーナスの神殿の円形建物に上ると噴水が出ているときの眺めが美しい。
庭園の設計はカール・フォン・エフナーKarlvon Effnerによるもの。

ムーア風のあずまや Maurischer Kiosk

ルートヴィヒ2世が1867年のパリ万国博の際に購入した東洋的な造りのこの金属製の建物は、彼がオリエントの君主を真似たくなったときの背景に使われた。
ここで、王は東洋の衣装に身を包み、円形の高い背がついた孔雀椅子のような凝ったデザインの玉座に座り、夜会を開いたという。

ヴィーナスの洞窟 Venus Grotte

人工の岩山から始めて、この洞窟は、ワーグナーのオペラ「タンホイザー」のヴィーナス山Venusbergの挿話の雰囲気をかもし出すために造られた。
先駆的な技術であった水中からさまざまな色の光が鍾乳洞内を照らし出し、法螺貝の形をした金色の小舟を浮べた池、ローレライを思わせる岩、王の玉座など、芝居がかった演出を好んだルートヴィヒニ世の趣味を表している。















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