アスティ Asti


アスティフォト

標高123m
人口約7万5000人

概要

アスティの歴史は波乱に富んだものだった。
この地には先住民がいたが、紀元前89年、口-マ帝国の植民地となる。
13~14世紀は独立都市国家として栄えたが、その後、スペイン、オーストリア、ナポレオン支配下のフランスの間をたらい回しにされ、国家統一を前に、ようやくサヴォイア公国の支配下に落ち着いた。

周囲はなだらかな丘陵地。イタリア最長のポー川に注ぎ込むタナロTanaro川の左岸に位置し,ボルボレBorbore川の合流点に近い。
豊かな大地が古くからフドウ栽培を盛んにし、ワイン醸造を中心とした農業の盛んな地域となる。
加えて、ローマへ至る巡礼路「フランチジェーナ街道Via Francigena」と、ジェノバから遠くロンドンまで続いたと言われる商業街道の合流する要所として12世紀に大きく発展した。
13世紀後半にはイタリアで最も豊かな都市だった。それが富裕層を多く誕生させ、自らを誇示させるために、高い塔が相次いで建造されるようになった。今も残る100余りの塔が物語っている。この町は「百塔の町」と呼ばれている。一番有名なのはトロヤーノの塔Torre Troyana。40mの頂上にはピエモンテ州最古の釣鐘がかかっている。

1850年代、アスティ周辺の平地で栽培されたブドウからイタリア随一の発泡性ワイン「アスティ」を生産しはじめ、現在に至っている。
アスティ周辺のブドウ畑の総面積は9120ha、ワイン生産に従事している農家は6800軒。
町の中には発泡性の「アスティ・スプマンテAsti Spumante」ワインの試飲ができる場所が無数にある。有料のところも多い。ワインバーも多い。

アクセス

鉄道 トリノ~アレッサンドリア~ジェノヴァ線沿線にあり、どちらからも定期列車(ほぼ1時間間隔)がある。 
トリノTorino Porta Nuova駅から鈍行で55分、ICで45分、ジェノヴァから1時間45分。

トリノとアスティは高速A21で直接結ばれており(60km)、この路線には「アウトストラーダ・デイ・ヴィーニAutostrada dei Vini (高速ワイン線)」のニックネームがついている。ジェノヴァからは国道S35でスタートし、いくつかの道路を使うが、どれもいい道なのでドライブも快適だ。

市街地

駅から旧市街地中心まで5分ほど。

アルフィエーリ大通り Corso Alfieri
町全体を貫くメインストリート。緩やかな坂道でとても美しい。
通りを行くとまず目に付くのは,13世紀のコメンティーニの塔torre dei Comentiniの建つローマ広場piazza Romaに出る。

ヴェットリオ・アルフェリーノ広場 Piazza Vittorio Alfieri
アスティ出身の劇作家「ヴィットリオ・アルフィエーリVittorio Alfieri」像が立つ。
三角形のの広大な広場で、ここは年に一度、毎年9月の第3日曜にパリア(競馬)が開催される。
この広場では水曜と土曜に大規模な青空市が開かれ、生活必需品をはじめ、土地柄ワイン用品なども並ぶ。 11月には、同じ広場にトリュフ市が立つ。

ナッタ通りVia Natta
町の最も古い地区を通る道の一つ。これを横切るジョベルティ通りvia Giobertiも同様に,ゴシック様式のレンガの扉や窓をもつ中世の家々(13~15世紀)といくつかの塔が立ち並ぶ。
A.オーフ通りvia A.Hopeを進んでいくと,メディチ広場 piazza Mediciにすらりと伸びる13世紀のトロヤーナの塔torre Troyana が立っている。

代表的な塔

トッレ・トロイヤーナ Torre Troyana(40m)

Piazza Medici
4-10月の土・日曜のみオープン。

トッレ・コメンティーナ Torre Comentina

ローマ広場Piazza Romaに立つ
塔上周囲は攻防のため築かれた凹凸になっている

トッレ・ロッサTorre Rossa

アルフィエーリ通りの終点に差し掛かると頃に位置する、16角形の塔。
アスティで唯一現存する古代ローマ時代のもの。

見どころ

大聖堂 Cattedrale

ロマネスク=ゴシック様式の広大な建物(1309~54年)。
正面に3つの扉口と円窓があり,高い窓のある右側面にはゴシック様式の柱廊式小玄関(1450年以降)が開き,そして荘厳な鐘楼(1286年)が控えている。
内部は高い柱で支えられた3廊式。
内側からフレスコ画を描くために西側の正面玄関を閉じた独特の構造なので、赤いレンガと白い石と柔らかい砂岩のコントラストが美しい南側から入場する。
12世紀半ばの床のモザイクが残っている。

サン・セコンド教会 Collegiata San Secondo

アスティの守護聖人を祀る教会。
内部には絵画のほか献上された歴代のパリオ優勝旗が展示されており、「クリプタ」と呼ばれる地下聖堂もある。
Piazza San Secondo

サン・ピエトロの円堂 Rotonda di S.Pietro

アスティで最も有名な中世の記念建造物。
12世紀の建造で,1280年に洗礼堂に改装された。
外形は八角形,内側は円形。方形屋根を支えるのは,円く並んだ砂岩やレンガの柱。
立方体のブロック状柱頭が施されている。

周辺の見どころ

チステルナ・ダスティCisterna d'Asti

標高350m,南西23 km。 人口約5000人
ボルボネの峡谷を遡って14.5kmの地点,サン・ダミアノ・ダスティS. Damiano d'Astiに出る。ロエロとバッソ・モンフェッラートの丘陵。
ピエモンテの44のDOCワインの一つを産する地。クロアティーナ種で造る軽い赤。
13世紀の創設当時の長方形の都市構造や18世紀の建物や教会が姿をとどめている。
23 km 地点,チステルナ・ダスティは中世には要塞の町として有名たった。城の起源は中世,17~18世紀に改築され,現在は高地アスティの農業文化を紹介する美術工芸博物館 Museo delle Arti e Mestieri (見学は日曜祝日の15時~18時,平日は要予約 Tel: 97118)となっている。

モンテキアーロ・ダスティ Montechiaro d'Asti

16.5km。 10月の中ごろから11月中ごろの週末にトリュフフェアが開催される。
2つの丘の上に円形劇場があり,中世の遺跡(城壁の遺構,塔が1つ,数件の家)を残す。北東2 km地点,高台にぼつんと離れて建つのはサン・ナザリオS. Nazario教区教会。二連窓のある高い鐘楼が教会に寄り添って建つ。これらはピエモンテのロマネスク様式建築のなかでも最も価値ある建造物である。

ゴヴォーネ Govone

南西18km。
ノナントラ Nonaintola修道院の古い領地。
庭園に囲まれたバロック様式の建物は市庁舎palazzo Comunale (1778年)で,舞台を見るような正面大階段がある。
かつてはサヴォイア家の所有で,カルロ・フエリ-チエの住居であった。
内部の部屋も興味深い。

コルタッッオーネ Cortazzone

北西19 km。 丘の上にある。
3つの後陣を持つロマネスク様式のサン・セコンドS.Secondo教会が建っている。内部には,動物の形をした柱頭がある。

コスティリオーレ・ダスティ Costigliole d'Asti

南西16 km。 アルバAlba方面へタナロ渓谷を辿って行く。
住宅地を見下ろしている舞台背景のような城Castelloは14~15世紀の起源だが,19世紀に改築された。

マドンナ・ディ・ヴィアトスト Madonna di Viatosto

北西4km。 見晴らしのよい小高い丘の上にロマネスク=ゴシック様式(14世紀)の教会が建つ。内部には古いフレスコ画が残る。広場からアスティの町が見渡せる。















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