サモラ Zamora
概要
サラマンカの北62km,レオンの南135kmに位置。
カステイーリヤ・イ・レオン地方,
人ロ約7万人
アラブ支配時代にドゥエロ川沿いに構築された町で,現在はサモラ県の県都。
今はわずかな形跡しか残っていないが、サモラの城壁は、ドゥエロ川は国土回復戦争レコンキスタの最前線であったため,西の辺境のこの地に堅固な城壁が建造された。
その後、この要塞はカスティーリヤ王国の王位継承者をめぐる戦いで重要な役割を果たした。
11世紀には、ナバーラ王サンチョ三世大王の息子たちが父の遺産を争った。
また15世紀には、ラ・ベルトラネハが、イサベル女王によって排斥されることを承諾できずに反旗をひるがえした。
また,ロマネスク美術が多数残存することから「ロマネスク美術の博物館」とも呼ばれる。
聖週間
サモラは聖週間の見事な行列で有名な町。
信者たちが行う瞑想と、町に繰り出すさまざまな「パソスPasos」(キリスト受難の像や山車)有名である。
枝の主日に、子供たちの行列が、キリストのエルサレム入場を模した「バソス」につきしたがう。聖木曜日の夜、松明に照らし出され、厳格な沈黙の中、グレゴリオ・フェルナンデス作の悲痛な彫像「死せるキリストCristo Yacente」が白衣の悔俊者たちに運ばれて、ゴルゴタの丘に見立てた小道を登るのである。
これらの像ははとんど、聖週間博物館 Museo de la Semana Santa)で見ることができる。
見ところ
カテドラル Catedral
1151年から1174年にかけて建立されたロマネスクとゴシック様式が融合した12世紀建造のもの。
以後、何度も建て増しと改装が行われてきた。北面のファサードは前の広場とよく調和している新古典様式で、ロマネスク様式の鐘塔と精妙な鱗型装飾付きクーポールと並んでおる。
このクーポールはサラマンカの「雄鶏の塔」に似ている。
南面のファサードは、建立当初からあった唯一のファサードで、窓のない小アーケードを規則的に配している0穴をうかたれた花綱模様のある不思議なアーチ型曲線を描くロマネスク様式のポルタイユが付されている。
身廓はロマネスクからゴシックへの過渡期の様式で、ボールトが尖頭ボールトから交差リブへと続いている。
彩色された精緻なリブが、トランセプトのパンダンテイフ上の明るいクーポール Cimborrioを仕切っている。
ゴシック期の終わりに金具職人と木彫家がこの教会の内装を行った。
「聖歌隊席coro」を囲む柵rejas、ムデハル様式の二つの説教壇(15世紀)、および背もたれの部分には聖書からの人物を、また肘掛けとミゼリコルドの部分には常春的情景や滑稽な場面を配した内陣聖職着席silleriaが見られる。
司教美術館 Museo Catedralicio
エレーラ様式によるカテドラルのクロイスターに面したこの美術館には、タペストリーtapicesのコレクションが展示されている。
ローマ皇帝タルクイ二ウスの生涯とトロイア戦争を描いた15世紀フランドルのタペストリーや、カルタゴの将軍ハンニバルの遠征を描いた17世紀のタペストリーが必見である。
カテドラル裏手の城の庭園Jardin del castilloからは、素晴らしいドゥエロ川の眺望が楽しめる。
セマナ・サンタ博物館
聖週間のパレードに使用された彫像や装飾品が収蔵されている。
ロマネスク様式の教会群
12世紀には、この地域一帯にポルタイユ(タンパンがなく多葉飾りのアーチに縁取られ、通常豊富な彫刻をほどこされたアーキボルトが付されている)と、パンダンテイフ上のクーポール(基部が円形で、大型建築のトランセプト交差部が装飾されている)が独特な、ロマネスク様式の教会が次々と建てられた。
サモラでのこの様式の最良の例は、
マグダレナ la Magdalena,、
サンタ・マリア・ラ・ヌエバ Santa Maria Nueva、
サン・フアンSan Juan、
サンタ・マリア・デ・ラ・オルタ Santa Marra de la Orta 、
サント・トメ Santo Tome、
サンティアゴ・デル・ブルゴ Santiago del Burgo
の各教会である。
領主の館 Casas senoriales
カサ・デル・コルドン(コルドン邸)Casa del Cordon とモモス邸 Casa de los Momosには、優雅なイサベル様式の窓が見られる。
周辺の見どころ
サン・ベドロ・デ・ラ・ナベ San Pedro de la Nave
北西19km。
N122を12km進み右折。西ゴート時代の教会iglesia Visigodaがエスラ・ダムのために水没することになり、エル・カンピーリョ El Campilloに建て直された。
その教会は7世紀末に建立されたもので、芸術的価値の高い建造物である。
トランセプト交差部の柱頭には、確かな構成感を持った彫刻がほどこされている(ライオンの穴の中の聖ダニエル、イサクの自己犠牲)。
内壁中央のフリーズには、ぶどうの房、鳩などのキリスト教を象徴する彫刻がほどこされている。
アルセ二リヤス Arcenillas
南東7km。
この村の教会には、フェルナンド・ガリェゴ Fernando GaIllegoが15世紀末に描いた、サモラのカテドラルのゴシック様式による大レターブルを構成する15枚のパネルがある。
そこにはキリストの生涯と死と復活が描かれている。
様式はオランダの画家ヴァン・デル・りエイデンと共通する。
ただ、デッサンはそれほど正確ではなく色彩も鮮烈さがないが、顔立ちはより親しみがもてる。
ベナペンテ Benavente
66km、
中世には商業上の繁栄を誇ったこの町には、いくつか美しいモニュメントが残っている。
ピメンテル伯爵の城 Castillo de los Condes de Pimentel
ルネサンス様式で、カタツムリCaracol型の美しい塔が残されている。
テラスからは、谷を見晴らす眺望を楽しむことができる。現在はパラドールとなっている。
サンタ・マリア・デル・アソゲ教会 Iglesia de Santa Maria del Azogue
過渡期の様式で、五つの後陣にわたる大きな後陣と、サモラ地方の特徴がよく示されている、二つのロマネスク様式のポルタイユが見られる。
トランセプトの交差部には、13世紀の美しいr受胎告知図」がある。
サン・フアン・デル・メルカド教会 Iglesia de San Juan del Mercado
南面のポルタイユの上部に、東方の三博士の旅が彫られた12世紀の彫刻がある。
(参考資料:観光局他)