メリダ Merida

概要

メリダフォト

人ロ約52000人
エストレマドゥラ地方:バタホス県
マドリッドから347km
バダホスの東約60km。

メリダ地図

この地方の中心都市として東西南北の交通の要衝であり、地方自治の首都である。
スペイン最大のローマ遺跡が残されている都市。
紀元前25年にローマ皇帝アウクストウスの属州総督が、ほとんどローマ化されていなかったこの地方に退役軍人向けの植民都市エメリダ・アウクスタを建設した。

この都市は、クアデイアナ川 Rio Guadianaのほとりで、ローマ時代の重要な街道(サラマンカーセビリヤ、トレード~リスボン)が交差するという地の利から、まもなくルシタニア州の首都が置かれ,イベリア半島を南北に結ぶ「銀の道」の要衝として発展した。

この植民都市に、神殿、劇場、円形劇場、そして全長400mにおよぶ大競技場までつくった。この大競技場もいまでは草木に埋もれている。
いまもローマ時代の橋が二つ、アルバレガス川 Rio Albarregasとクアデイアナ川に架かり、クアデイアナ川の方には港も設けられている。水の供給は、町の北部に築かれた二つの人造湖(コルナルポ Cornalvo、プロセルピーナ Proserpina)と、そこから水を運んでいるサン・ラサロ San Lazaro、ロス・ミラグロス Los Milagrosの雨水遺構によって確保され、水道橋のアーケードには、いまでも石やレンガの優雅な彩色が見えるものもある。

アラブ支配時代には首都をバダホスに譲り,国土回復戦争後は主要都市としての地位を失った。

町にはローマ遺跡が点在する。イベリア半島各地に残るローマ遺跡の中でも,規模,内容ともに最高のものが残されている。町は未発掘の遺跡の上にあると言われ,今後も重要な遺跡群が発掘されると見られている。

主な観光ポイントは,前造の「ローマ劇場」,紀元前8年建造の「円形競技場」,ローマ時代の美術品コレクションでは欧州随一を誇る「国立ローマ美術館」,メキシコ征服の覇者エルコン・コルテスの生誕地である近郊の村「メデリン」など。tj

アクセス

マドリッド/アトーチャ駅から列車で5時間。1日3~4便運行

見どころ

遺跡への入場は「共通入場券」での入場見学が必須になっている。
円形劇場、ローマ劇場、アルカサバ、円形競技場、サンタ・エウラリア教会などほとんどの見どころをカバーしている。

ローマ劇場 Roman Teatro

紀元前15~16年、アウクスティヌス帝の女婿アグリツパが築いたもの。
半円形に配列された6000人収容の階段席、合唱隊と端役の定位置オルケストラ、これを囲んで高宮貴顕の席、ハドリアヌス帝時代(後2世紀)に列柱と彫像群で装飾されたきわめて美しい舞台壁、そして幕間に観衆がそぞろ歩く、庭園に画した柱廊というローマ帝国の大劇場の古典的な構成をとっている。
階段席への通路のボールトは大きな花崗岩の塊でつくられ、モルタルを使わずに石組されている。

円形劇場 Antiteatro

紀元前8年建造の闘技場で、観客収容数は推定1万40000。
ここでは特に戦車競走、そしてトラックが泉水に改造されてからは、海戦(模擬海戦)が行われていた。段状についた入口と「ボミトリウムvomitorium」、つまり観衆が退場するボールト天井の大通路の跡ははっきり残っているが階段席は消失している。ただし南ボミトリウム(舞台側から見て右手)の両側に一部が復元されている。ここにはトラックの縁に張り出すようにそびえる壁がみえるが、これは野獣の闘技のとき最前列の観客(一般的に名士が着席)を保護するためのものである。闘技場の中央に掘ってある溝は、おそらくトラック整備に必要な装置や小道具の収納場所だったのだろう。

ローマ時代の別荘(円形劇場の住居跡) Casa Romana del Anfiteatro

3世紀のいくつかの建造物(導水路、舗床、壁の隅石)の遺構から、柱廊のまわりに配置されたパトリキ(ローマ貴族)の別荘とその付属建築物のプランを知ることができる。
モザイクの舗床は驚くほどよく保存され、精巧な幾何学模様のものや、秋の主題のモザイクのぶどう搾りのような、日常生活の情景を描いたものがある。

デイアナ神殿 Temple de Diana

ロメロ・レアル通り Calle Romero Leal。
民家に組み込まれてしまっていたものが発掘された。溝彫装飾をほどこした高い円柱が並んでいる。

国立古代ローマ美術館 Museo Nacional de Arte Romano

1985年に完成したモダンな建物は、メリダの豊富なローマ考古学コレクションの専門展示館として、建築家ラフアエル・モネオ・バリエス Rafael Moneo Vallesが設計したもの。総れんが造りの暖かい色調が大理石の彫刻を引き立てているこの広大な建物は、ローマ帝国の建築を思わせる簡素で荘重な輪郭が印象的である。
傾斜路から入るとまず大ホール。梁間を区切る9つの半円アーチが、ホールのボリュームにめりはりをつけている。このホールの上に回廊と連絡ブリッジがつけられ中2階、中3階に宙に突き出た形の展示室群を形成する。
ホールに展示されている彫刻のうち注目すべきものは、劇場の壁を飾っていた彫像群、毅然とした表情のアウクストウス帝の頭像(第2梁間の奥)、そして最後の梁間にある、メリタのフォーラムの柱廊から移された各部分である。要人の彫像、フリースを構成していた巨大なカリアティード(女人柱像)やメタイヨン(メドゥーサ、ユピテル/ジュビター他)など。宝飾品、貨幣、陶器が展示されている上階への連絡ブリッジからは、すばらしいモザイクmosaicosを観賞できる。
地下では発掘現場(ローマ時代の家と墓の遺跡)の見学ができる。美術館のある建物は、この現場の上に建てられている。

メリダローマ橋フォト

ローマ橋 Puente romano

中州の多いクアデイアナ川にかかる81のアーチから成る全長793mの橋。





アルカサバ Alcazaba

ローマ橋を防御するため、イスラム・アラブ人が9世紀に建てた要塞。
城郭内では川の水面の高さに掘られた貯水池 Aljibeを見ることができる。
モーロ人は、この貯水池の装飾のために大理石製のコリントス様式柱頭と西ゴート時代のフリーズを再利用している。















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