フランス

フランスの著名人

近現代の画家たち

パリや南仏の美術館や画家のゆかりの地を巡るのは、フランス旅行の楽しみのひとつとして定着している。それほど絵に関心のない人でも、パリを訪れたら美術館のひとつふたつは見学をすることだろう。特に印象派をはじめとした19世紀以降の絵画は、宗教画や歴史画と違って日本人にも馴染みやすく、旅行者に大変人気がある。
中世より絵画は写実的な肖像画、宗教画、歴史画が中心であった。19世紀の中頃、モチーフを戸外に求めたのが、バルビゾン派と呼ばれるミレー、コローたちである。さらに、自然の光と色彩を大切にしようと立ち上がった集団が日本でもよく知られている印象派だ。
19世紀にパリは経済的、文化的に飛躍的な発展を遂げた。しかし、一流画家への登竜門であった「サロン」と呼ばれる官立の展覧会の評価の基準はとても保守的であった。そんなサロンへの批判が高まり、1863年には落選作を世に問うべく「落選者展」が開かれた。以降、それまでタブーとされた題材や表現方法を使った作品も日の目を浴びるようになった。パリのオペラ座からマドレーヌ寺院に至るキャプシーヌ通りにある写真家ナダールのスタジオでは、1874年から86年まで計8回の「印象派展」が開かれている。
そして、ますます国内外の芸術家たちはその自由な空気を求めてパリを目指すこととなり、大胆な色彩とタッチの「野獣派」や、多角的な構図をキャンバスで表現した「キュビズム」などを前衛的な画法も生まれた。1910年代から30年代にかけてモンマルトルやモンパルナスで制作活動に励んだ画家たちは「エコール・ド・パリ(パリ派)」と呼ばれている。