ルーマニア

ブコヴィナ地方 Bucovina
14〜15世紀に盛んに僧院が建立された壁一面に聖書や歴史の舞台の有名な場面がフレスコ画で描かれ,鮮明な色彩は数世紀を経たものとは思えない美しさである

5つの修道院   世界遺産

ルーマニアの北部、モルドヴァ地方は、旧ソ連のウクライナ、モルドヴァ共和国と国境を接する地域。
カルパチア山脈の東に広がる豊かな土地には、昔ながらの農村風景を見ることができる。
1388年モルドヴァ公国の首都となった町スチャバ Suceava は16世紀に遷都されるまで政治・経済・文化の中心地として繁栄した。
シュテファン大公は、近郊にいくつもの修道院を建設し、後に「5つの修道院 Cinci Manastiri Bucovinene 」と呼ばれるルーマニアが世界に誇る至宝となっている。
修道院群は、その美しさと芸術的価値が認められ世界遺産に登録されている。スチャバを拠点としてバスでこれらの修道院を巡る。

スチェヴィツァ僧院 Manastirea Sucevita

(天使の階段、,エツサイの木、聖母の祈り)
1586年の完成。「5つの修道院」では最大規模となり、外壁のフレスコ画も最も良い保存状態となっている。
北面の壁に「天国の梯子」、東面に「聖人伝」、南面に「エッサイの樹」、西面に「最後の審判」が描かれている。僧房の隣には博物館が付属している。

モルドビツァ僧院Manastirea Moldovita

1532年シュテファン大公の息子であるペトゥル・ラレシュ公により建てられた。
外壁のフレスコ画には聖人や天使たちが描かれているが、聖堂南面にはペルシャ軍来襲の戦闘場面が描かれているのが珍しい。

ヴォロネッツ僧院Manastirea Voronet

1488年シュテファン大公が建てたヴォロネツ村の修道院。壁画は「聖人伝」や「エッサイの樹」などのほか、傑作といわれる「最後の審判」が西面に描かれている。
通常は西にあるべき聖堂入口が、この絵を描くために建物の西側にないというのも特徴となっている。

フモール僧院Manastirea Humorului

1530年モルドヴァ公国ブブイオグ大臣夫妻が建てた修道院。宮廷画家トーマらにより描かれた壁画が残されている。
修道院群の中で画家の名前が判明しているのはここだけとなる。

アルボーレ僧院Manastirea Arbore

1503年にモルドヴァ公国の一貴族により建てられた、他に比較して小規模な修道院。
西壁に残された壁画は、「聖人たちの生活」や「創世記」など描かれている。

プトナ僧院

聖堂外壁をおおうフレスコ画がないので世界遺産になっていない