概要 標高396m。人口約38,000人。 ウンブリア州ペルージア県 アペニン山脈の丘陵地帯に位置する。 豊かな山地の中の丘の上にある、堅固な石造りの建物が密集する町。 古代ローマ時代の遺跡から、中世の各時代の教会建築など多くの足跡を残している。 ローマからも日帰りできるが、終日たっぷりかけても見切れないほどの観光スポットがある。 鉄道駅は、丘の上の旧市街地の北1kmあまりほど離れたところにあり、バスで旧市街中心地まで連絡している。 車も、旧市街地の駐車は限定的で、夏季シーズンは下の駐車場からバスとなる。 この町は毎年6〜7月にはスボレート国際芸術祭が開催されることで世界中に知られている。6月下旬から7月中旬まで3週間以上にわたり、演劇、音楽、オペラ、バレエの舞台が連日催されるほか、美術展も行われる。 いつもは静かな町だが、芸術祭の期間中は、少ないホテルは料金が高騰し争奪する。 チケットも早くから(3月頃)予約していないと確保が難しいほどだ。 最近の不況で運営も苦しい事情を抱え、最盛期ほどではなく、その質や量にも影響が出ているが、チケットは高騰し続けていて、確保の難しいプログラムも少なくない。 http://www.spoletofestival.it アクセス 鉄道 ローマ・テルミニTerminiから特急ESで1時間15分8毎日7便)、鈍行で約1時間40分〜2時間20分(9便)。 途中から単線のため、特急でも遅延もある。 ペルージャやアッシジとは直通がわずかで、ほとんどはFolignoで乗り換えとなる、 鉄道駅 Spoleto駅 丘の上の旧市街地から北へ約1km離れたところの位置する。 シャトルバス(オレンジ色)は頻繁に出ている駅前から旧市街地の中心ガリバルディ広場やリベルタ広場Piazza della Libertaまで行く。 A,B,Cのどれもが駅と旧市街地を結ぶ。旧市街までは短い距離だが、新市街地を経由していくので時間がかかる。特に帰路には十分な時間的余裕をもって駅までおくようにしないと遅れる。 駅前を通るバスの中には、近隣の都市とを結ぶバス(約20〜30分間隔)もある。 タクシーでは5分で行く。荷物があるときには、目的地まで直行してくれるからバスよりおすすめだ。 旧市街のみどころ 古代ローマ時代の建造物が多く残る。 古代ローマの劇場があるリベルタ広場から北東に少し歩くと、旧市街の中心、メルカート広場Piazza del Mercatoにでる。 この広場からドゥオモ広場Piazza del Duomoまでの間に、見どころが集中する リベルタ広場 Piazza della Liberta 街の中心地で一番高い位置にある。 古代ローマ時代の古代ローマ劇場Teatro Romano. 紀元l世紀に建てられたものだが、何度も建て直され、現在は夏の芸術祭の演劇の会場として利用されている。 中世ロマネスク様式のサンタガタ教会 S.Agataや付属の修道院などの建造物がある。 修道院の一部は考古学博物館 Museo Archeologicoとなっている。 リベルタ広場の東、フォンタナ広場 Piazza Fontana周辺にも、ローマ時代の遺跡がある。 ドゥルススのアーチ Arco di Druso 同名の通りにあり,古代ローマ都市の中心広場へのゲートウエイとして1世紀に建設されたもの。トラルティーノ石で作られたアーチで、隣接して1世紀の古代ローマの神殿tempio romanoの遺跡があり,6本の大理石の円柱を備えたフロナオスが残っている。 サンタンサーノ教会S.Ansano 一部はドゥルススのアーチに接している。 11−12世紀、ロマネスク様式の建物の上に建つ教会で,18世紀末に全面的に再建された。古代ローマの神殿のあった地域の大部分を占めている。 堂内は,石の第1祭壇にスパーニヤSpagnaのフレスコ画「聖母子」が断片的に残る。 11〜12世紀に作られた聖イサワのクリフトcripta di S.Isaccoは,他の建物から移された円柱(8,9世紀)が並ぶ。 クリフトの壁面には,イサワの生涯を表わすピンザチン的趣味の絵画装飾が断片的に残っている。 教会の内部には聖イサクの地下礼拝所CriptadiS.Isaccoがあって、12世紀のロマネスクの影響の濃いフレスコ画を見ることができる。 サンタガタ修道院 Monastero di S.Agata コルウイ家所有の邸宅を改造して作られたベネディクト会の建物。 内部には,レンガ造りの角柱が並ぶ16世紀の美しい回廊がある。 初期の建築の柱が残る教会は,古代ローマ劇場の舞台のあった場所に築かれた中世の土台の上に建つている。 内部は,13世紀のフレスコ画が見られる。 旧修道院の各部屋には,国立考古学コレクション Raccolta Aarcheologica Stataleが設けられている。 主に古代ローマ時代の発掘品を展示し,その大部分はスボレートの周辺地域から集められている。 市庁舎(市立絵画舘)Palazzo Comunale(Pinacoteca) 13世紀後期の建物だが、18世紀後半に全面的に改修された。唯一面影を残すのは、後方の塔だけだ。 現在は市立絵画舘として、ウンブリア派の作品を中心に彫刻、家具、宝飾品なども展示されている。 1913年に増築された市庁舎の西棟の地下には紀元前1世紀の豪華な古代ローマの邸宅casa Romanaの遺跡が残る。入口はヴイジアーレ通りvia Visiale, 大司教館 Palazzo Arcivescovile 市庁舎の向かいに建つ. サンテウフェミア修道院を15世紀に再建したもの。 17世紀の改修により現在の外観ができあがった。 向かいには,開廊が何層か重なった有名な中庭を持つマルトレ、ソリ=スルシーニ舘palazzo Martorelli Orsiniの16世紀のファサードが構える。 大司教館の2階には,司教区コレクションRaccolta diocesanaが入っている。の中には,14世紀と15世紀のタブロー,ドメニコ・ぺッカフーミDomenico Beccafumiのプレゼビオ,17〜18世紀の絵画(ブランチェスコ・ラグーザFrancesco Ragusa作「聖カタリナの神助の結婚」〈1818年〉)などが収蔵品される。 大司教館の敷地には,長い歩廊を持つ古代ローマの建物(前1世紀)の遺跡と,サンテウフェミア教会がある。 ドゥオーモ広場 Piazza del Duomo ドゥオーモを中心として、右手に延びるのは16世紀のランカーニ館 Palazzo Rancaniで,現在はアッローニ館 Arroniと呼ばれている(ファサードの掻き絵と,噴水のある中庭がある)。 広場の反対側には,政庁舎 alazzo della Signoriaが建つ。 下方を頑丈な角柱で支えられて,建物群がひとつづきになっている。 建物の一番端はドゥオーモ監理局 Casa dell’Opera del Duomo(1419年)で,ドゥオーモに近い反対端には,1528年に建てられた8角形のサンタ・マ1」ア・デッラ・マドンナ教会S.Maria della Madonnaがある。 この2つの建物の間に,小さなカイオ・メリッソ劇場 Teatro Caio Melisso(1877〜80年)があり,劇場の正面壁の裏側に,3世紀の石棺が泉として置かれている。 ドゥオーモ Duomo 古くからあるサンタ・マリア・イン・ヴェスコヴァード教会の上に,1198年にロマネスク様式で建設され,17世紀に改造された。 ロマネスク様式のファサードの前には、美しいルネサンス様式のポーチ(張り出し玄関)が付いている。 左に建つ11世紀の鐘楼は、ローマ時代の建造物から回収された巨大な石を利用して造られたどっしりしたもの。 内部は,17世紀前半に全面的に改造されており,角柱列に支えられた3廊式で,ドームと大きな後陣を備える。身廊のモザイク床は,大聖堂がロマネスク様式だった当時のものが残されており,大部分は12世紀に作られている。 ドームのある後陣のフレスコ画は、フィリッポ・リッピと弟子たちの作品。 リッピがこの仕事が終わる前に亡くなったので、パトロンであったロレンツオ・デ・メディチはフィレンツェからスボレートまでやって来て、リッピの息子、フィリッピーノに父親の霊廟を建てるよう命じた。リッピの墓は霊廟は大聖堂の右翼廊の左側の壁画にある。 *サン・グレゴリオ・マッジョーレ教会 San Gregorio Maggiore この聖堂もおそらくその起源は初期キリスト教時代のもので、現在の建物はスボレート風のロマネクス様式で11世紀後半に建て直されたものである。 内部は円柱列に支えられた3廊式、クリフトの上に高くせり上がった内陣は地下埋葬室の上に一段高く築かれている。 周囲の壁には,12〜15世紀のロマネスク時代のものをはじめ、その後の各時代にわたるフレスコ画の断片が残っているが,これらは1904年に行われたバロック様式の手直し部分を取り除く修復作業で発見されたものである。 サン・ニコロ教会 S.Nicolo 14世紀初めに建てらた旧教会で,ニ連窓を持つ多角形の高い後陣が,城壁からはみ出している。ゴシック様式のこの建物は,地元産の切石で作られたシンプルなファサードと,広い身廊を備える。 修復が行われ,会議場や文化的な催し物のホールとして利用されている。 サン・ドメニコ教会 S.Domenico 13世紀後半の建物で、白と赤の縞模様で,シンプルなファサードと右側面にゴシック様式の扉口を持つ。 単廊式の広い内部は,壁面が14世紀と15世紀のフレスコ画で飾られている。 ガリバルデイ広場 Piazza Garibaldi ガリバルディ門に面した広場. かってはサン・グレコリオ広場と呼ばれた。 15世紀に再建されてから,取り壊しと再建が繰り返された。 近くにあるサンクイナリオ橋ponte Sanguinarioは,古代ローマ(アウクストウス帝時代)に造られた3連アーチの橋。川の流れガ変化し,現在は土中に埋まっている。 古代ローマの円形競技場 Antiteatro Romano ヨーロッパ各地に残る古代ローマ時代の円形競技場の中でも特に大きい方だが、現在は軍の兵舎の中にあり、一般には公開されていない。 ガリバルディ広場 Piazza Garibaldiから延びているアンフィテアトロ通り Via dell’Anfiteatroを歩くと、わっずかに覗くことができる。 近現代美術館 Galleria d'Arte Moderna e Comtemporanea マッツィーニ大通りCorso Mazziniから短い路地を下った所に建つロザーリ=スパータ館 Palazzo Rosari-Spadaにある。 ウンプリアの若い作家の作品や,現代の巨匠たちの作品を収蔵する。 また,スボレートの画家・彫刻家レオンチ、ソロ・レオナルデイLeoncillo Leonardiの作品を専門に展示する一室がある。 さらに,1962年から駅前広場に飾られているアレクサンダー・コールダーAlexander Calderのブロンズ彫刻の大作である「テオドラビオ」のオリジナルのデ、ソサンもここにある。 月曜休館。 城壁外の見どころ 丘の上の旧市街から東の山裾には建築的にも芸術的にも非常に優れた宗教建築が点在する。 また、山裾を流れるテッシーノ川をまたくひときわ自立つトッリの橋も見どころだ。 トッリの橋 Ponte delle Torri トッリは塔のこと、 高さ76m,全長230m、10のアーチからなるテッシーノ川にかかる巨大建造物。 この橋は,サンテリアの丘 Colle S.Eliaとモンテルーコの丘を結ぶ。12世紀以降に建設され,城塞に水を供給するという機能を果たしていた。現在のものは14世紀に城塞を設計した建築家ガッタポーネGattaponeによって造られたといわれる。 サン・ピエトロ教会 San Pietro モンテルーコ Montelucoの丘の裾野にそびえる教会。 もともと5世紀古代ローマの建築物のあった場所に建てられ,12世紀に建て直され、その後も改築が行われた。 細かい彫刻が施されたファサードは,12世紀と13世紀の後期ロマネスク文化の貴重な作品とされている。 中央扉ロの両脇に施された浮彫りは新約聖書の諸場面,動物,象徴的な意味を含む寓話をテーマにした5つの浅浮彫りが2重に並んでいる。 *サン・サルヴァトーレ教会 San Salvatore 町の中心ヴィットリア広場 Piazza Vittoriaから北東に約1.2kmのルチアーノ丘 Colle Lucianoの斜面に建つ。 4世紀に建てられた初期キリスト教会のひとつで、数世紀の間に何度も改修が行われたが,創建時のものでは正面と後陣部が残されている。 ファサードは,2つに区切られ,大理石の3つの扉口と優雅な縁取りの3つの窓を備える。 内部は3廊式で,半円形の後陣を備え,コリント式の円柱が対になって並び,その上に17世紀のドームの4つのアーチが築かれている。 周辺の見どころ モンテファルコ Montefalco ノルチャ Norcia |
(参考資料)Guida rapida d'Italia |