スペイン

滞在・生活事情3

スペインの食事

<食事ができる店>
クロスのかかったテーブル席のみの「レストラン」以外にも、バル(バー) Bar やカフェでも軽食を用意している。大きな駅の中などにはセルフのカフェテリアもある。大都市にはマクドナルドなどのファーストフードの店舗も急速に増えてきている。
スペイン旅行で便利な存在なのが、バルである。酒類はもちろんコーヒーも軽食も用意している。奥に厨房があってヤル気のある所は昼夜にきちんとした食事も出す。バルは町のいたるところにある、というよりも飲食店の基本形として入口を入ったところにバーカウンターがあるので、そう見えるのかもしれない。朝から夜まで開いていて、喫茶店でもありレストランでもあるわけだ。田舎に行けば雑貨屋の中に小さなバーカウンターがあったりする。日本で言うバーとは違い、ビール1杯、コーヒー1杯でOK。値段も安いので気軽に入ろう。

朝食 Desayuno

大きなホテルではバイキングを出すが、本来はそれほどしっかりと食べる国ではない。
スペイン人はコーヒーとパンくらい。バゲットを切ったのにバターとジャムをつけたもの。
街のカフェやバルでは生地を絞り出して揚げたチューロ Churro もポピュラーだ。これにはチョコラーテ(チョコレートドリンク)が合う。

昼食/夕食Comida/Cena

聞いたことがあるかもしれないが、スペインの食事の時間は遅い。昼食はだいたい2時頃、夕食は9時頃と言われる。
ただし、実際に街のレストランではもっと早くから用意しているし、あまり遅いと食事中に店じまいが始まるので、それぞれ1時間前くらいに店に入った方がよい。

レストランでの注文の仕方

昼と夜はしっかりとコースで食べる。
レストランでは基本的に料理を2皿頼む。レストランの前にはたいてい「メニュー・デル・ディア Menu del Dia=本日の定食」と書かれた貼り紙がしてある。これはアラカルトで頼むよりお得。内容はいつも変わらない店も多いが、その分選択肢は多い。

最初に、数字の1とか Primero とある下にズラズラと料理の名前が書いてある。これが1皿目で、この中から1品選ぶ。同様に2皿目(数字の2とか Segundo ところ)から1品選ぶ。
下の方にに、Postre(デザート), Pan(パン), Vino(ワイン) などと書かれている。これらが料金に含まれる、ということ(デザートが付いていないこともある)。

レストランの中に入る。手順は決まっているので、慣れれば迷うことはない。
まず人数を聞かれるが、指で答えればいい。バルの場合は、奥の方に食事用のスペースがある場合があるので、そういう場合は「パラ・コメール Para Comer(食事をする)」と言うか、食べる手まねをすれば席に案内してくれる。とぼけてアラカルトメニューを持ってくる場合があるが、「メニュー・デル・ディア」とはっきり言う。


1皿目:スープ、サラダ、スパゲッティ、パエリャなどは1皿めの部類に入る。
2皿目:肉、魚など。
最初に、1皿目と2皿目の料理選ぶ。指さしでOK。概して1皿目の方が日本人好みのものが多い。
2皿目の料理名は魚の種類や肉の部位と調理法の組み合わせになり、そうそう憶えられるものではない。適当に頼んで勝負してみよう。魚は概して無難だが、肉の場合は日本では馴染みのない内臓も含まれるので注意。
アラカルトなら2皿目の代わりに1皿目のカテゴリーから2つ選んでも(サラダとパエリャの組み合わせ等)怒られるようなことはないし、定食でも交渉してみればいい。

その後「パラ・ベベール Para Comer(飲み物は)?」と聞いてくる。そこで、ワイン、ビール、水のいずれかを答える。この時はコーヒーは頼むものではないので注意。
赤ワイン Vino Tinto ビノ・ティント
白ワイン Vino Blanco ビノ・ブランコ
ビール Cerveza セルベッサ
ミネラルウォーター Agua Mineral アグア・ミネラル
以上の単語の後に「ポルファボール Por Favor=Please」を付けて頼む。ここでウエイターはいったん下がる。
定食の場合、ビールは大きめのグラス1杯。ワインはグラスか小ボトル、または専用の容器で出てくる。

1皿目が出され、食べ終わるのを見はからって2皿目が出てくる。2皿目を食べ終わると、ウエイターが「ポストレ Postre(デザートは)?」とたずね「Flan, helado, Manzana...」などとズラズラと言い始める。これらは果物などデザートの定番で、特にメニューに書かれてはいないので、意味を憶えておかなければならない。
プリン Flan フラン
アイスクリーム Helado エラド
りんご Manzana マンサーナ
オレンジ Naranja ナランハ
バナナ Platano プラタノ
アロース・コン・レーチェ Arroz con Leche
(米をミルクで煮て冷ましたようなもの)、
クレマ・カタラーナ Crema Catalana
(カタルーニャ地方名物のカスタードクリーム)
などを置いているところもある。


デザートを食べ終わると、今度はコーヒーである。ウエイターがやって来て「アルゴ・マス Algo Mas(何か他に)?
カフェ Cafe?」と聞いてくる。
カフェ・ソロ Cafe Solo ブラックコーヒー。小さなカップで出てくる。
カフェ・コルタード Cafe Cortado コーヒーに少しミルクを入れたもの。コップで出てくることが多い。
カフェ・コンレーチェ Cafe con Leche 同量のミルクで割ったもの。カフェオレ。
コーヒーはふつう別料金。100円程度。もちろん飲まなくていい。

コースを食べ終え、そして会計となる。「ラ・クエンタ La Cuenta=お勘定」と言うか、手を挙げて、手の平の上で字を書くジェスチャーをすれば、伝票を持ってくる。基本的に支払いは食事をしたテーブルに座ったまま行う。
チップは釣り銭程度でOK。高級レストランでなければ、50〜100円分くらいで十分。

名物料理

ここではごくごく代表的なものにとどめておく。

軽食

スペインでは朝食と昼食の間が長いので、11時頃に軽食を食べる習慣がある。仕事や授業の合間にカフェで立ち食いをする姿が見られる。コーヒーにトルティーリャやパタタ(ポテト)などをつまむ。お腹が減っていればボカデーリョを食べてもいい。もちろんこれらは何時でも食べられる。
また、プラト・コンビナード Plato Combinado というハンバーグ、卵、ポテトなど好みの組合わせをひと皿に載せて出すセットを用意している店もある。料理自体はありきたりだが、食はぐれた時には便利だ。


ボカディーリョ Bocadillo
バゲットを使ったサンドイッチ。生ハム、チーズ、トルティーリャなどを挟む。軽食の定番で、バルやカフェで食べられる。最近はボカディーリョ専門のチェーン店も増えてきている。

酒を飲む

バルで立ち飲みするのが一般的。ビール、ワインは日本と比べれば格安。カウンターにつまみの料理が並んでいて、それを小皿(Tapa)に載せて出してくれる。適当に指させばよいが、魚介類はけっこう高いので注意。生ハムも決して安くはないので、大皿で持ってこられたりされないように。
スペインではあまり同じ店に長居せず、どんどん店を移っていく「はしご酒」を好む傾向がある。
ただし、これはスペイン人の話。旅行者は治安面での心配もあるので、手ブラで出かけられる範囲で、あまり遅くまで飲んだくれないこと。不安のある人は無理をしないで、ホテルのバーで落ち着いてお酒を楽しむのが正解。市内のスーパーでワインを買って持ち帰ってもいい。シェリーなんて日本のスペイン料理店で出される料金を思い出すと腹が立つくらい安い。


各国料理

日本料理レストランはマドリッドやバルセロナには多くあるが、それ以外にはほとんどない。
中華レストランは中都市レベルでもある。ボリュームがあって料金も安い。コースはエビセン+スープ+メイン料理+ライスか炒飯。もちろん1人前から出してくれる。~食後にジャスミン茶などもあるが、砂糖が付いてくる、または既に入っている場合が多い。