ハンガリー

トカイ Tokaj

人口約4300人の小さな町。
ハンガリーワインの名産地
(ツアー観光ポイント)
ワインセラー(試飲)




ハンガリーのワイン

中東欧のワイン製造は、歴史も潜在的な技術もありながら、旧ソビエト連邦への安価なワインの供給に専念し、発展が止まっていた。しかし近年では、生産性重視の製造法から品質に対する目を取り戻し、昔ながらの製法に立ち戻る動きも出てきている。
近年では日本でもハンガリーやブルガリアのワインなどが手に入るようになっている。その中でもハンガリーのワインは良質で知られ、とりわけブダペストから北東に約200kmのトカイ地方の貴腐ワインが有名で、「トカイ・アスー」とも呼ばれている。ルイ14世から「ワインの帝王、帝王のワイン」と讃えられた、このトカイ・アスーについて説明しておこう。

17世紀初頭、この地方の農民が戦乱で避難しているうちに収穫期が過ぎてカビが生えてしまったブドウを捨て切れずに醸造してみたところ、驚くほど甘美なワインが生まれた、という伝説がある。実際には16世紀中頃には製造されていたと見られる伝統的な製法である。
この地方で栽培されているのは主にフルミント、ハールシュレヴェリューという品種。これらはワイン用としてはかなり大粒で、貴腐化も早いため、ツヤのある干しブドウのように完熟していく。その貴腐ブドウから絞られたワインを果汁またはワインで薄めて発酵させたのが、トカイ・アスーである。ランクを表すのに「〜プットニョシュ」という数値を使う。プットニョシュとは、1グンツの樽1杯(136リットル)の果汁(またはワイン)に対して、背負いカゴ(約25リットル)何杯分の貴腐ブドウを入れたかという単位で、3杯入れれば3プットニョシュとなる。現在ではカゴうんぬんではなく、その糖度を計って決められる。通常のアスーは3〜5プットニョシュであるが、特に天候に恵まれた年には6プットニョシュも作られる。6プットニョシュは特上品としてかなり高価なものだ。それ以上のランクとなると「アスー・エッセンシア」になる。これは貴腐ブドウを積み上げて自重で染み出た果汁で、特に優れた年以外には生産されない貴重品。糖度が異常に高くほとんど発酵しないのでシロップのような感じだ。

1991年にサントリーが共同経営しているワイン会社、グラン・ミレジム・ド・フランス社がトカイの名門醸造所トカイ・ヒツルの経営権を取得している。