ドイツ/ベルリン・ゲーテ街道・ドイツ東部
エアフルト Erfurt †
(チューリンゲン州)
人口:約230,000人
- 中世ロマン漂う州都エアフルトは、805年カール大帝によってスラブとの境界交易地に指定されて以来、東はライン地方から西のロシアにおよぶ一大通商路「王の道Konigsweg」の要衝として栄えた街だ。
- 15世紀にはハンザ同盟に参加しており、北の有力な港と中央∃一ロッパを結ぶ連絡地点であった。
- かつては80もの教会が建っていたという旧市街は、戦災を免れ、中世の街並みがそのまま残っているが、1472年に町中で猛威をふるった大火のせいで、15世紀以前の建物は一つも残っていない。
- 15-16世紀にはドイツ人文主義の中心地となっており、若きルターLutherは、ドイツ人文主義の牙城であったエアフルト大学で哲学を専攻した。
1505年、彼はアウグスティノ会修道院に入り、6年後大学教授としてヴィッテンペルクWittenbergに赴くまで、この地で暮らした。
- ゲーテは、1776-1811年にかけてワイマール王国の宰相としてエアフルトにたびたび滞在した。
- 1808年9月27日から1D月14日までの間、エアフルト会議 Erfurter Kongressでここに滞在している間にナボレオンはゲーテと何回か会っている。
二人は互いに称賛し合い、「これこそ人間だ!」と感激したというナポレオンは、彼にレジオン・ドヌール勲章を授けている。ゲーテもまた、フランス皇帝ナポレオンに対し、深い尊敬の念を抱いていた。
- 1990年以来、エアフルトはドイツ連邦共和国チューリンゲン州の州都となっている。
- 第二次世界大戦で受けた被害を、戦後のドイツ民主共和国(旧東ドイツ)政権は昔の栄華をほとんど取り戻すことができなかった。
統一後、一気に復興が行われ、往年の活気を取り戻すまでになった。
- 旧市街はゲーラ川 Gera Riverが2分しており、さらに沢山数の小川に枝分かれして入り江ができている。
- 街自体は比較的大きいが、旧市街を中心に、大聖堂とセヴェリ教会や、クレーマー橋などの見どころは集まっている。
アクセス †
- 鉄道
フランクフルト中央駅Frankhurt a/M Hbf.からドレスデンDresden Hbf.行き特急ICEで2時間15分。ほぼ1時間間隔。
ベルリン中央駅Berlin Hbf.からの直通列車は特急ICで2時間20分、ほぼ2時間間隔。
見どころ: †
- マリエン大聖堂 Dom St.Marien
エアフルトのシンボルとなる、旧市街の高台にそびえる大聖堂は、階段で降りた正面のドーム広場からの眺めが素晴らしい。
中世に造られたものとしては最大級のステンドグラスやマドンナ像など、貴重な芸術品が多い。
夜間はライトアップされ、さらにその荘厳なたたずまいが映える。
夏季は階段を使っての野外劇が、冬季にはドーム広場でクリスマスマーケットが開かれる。
- 聖セヴェリ教会 Severikirche:
大聖堂の隣にある。
1280年建造、3本のとがった屋根と5つの側廊を持つホールチャーチ様式の早期ゴシック様式の教会。
836年にエアフルトに運ばれてきた聖セヴェルスSt.Severusの亡骸を納めた石棺の他に、聖母マリアの石像(1345年)や高さ15mの洗礼盤(1467年)がある。
- ベータースペルク要塞 Citadelle Petersberg
この要塞を築くために市内の多くの教会が取り壊されたため、エアフルトには教会を伴わない塔が多い.
- クレーマー橋 Kramerbrucke
「小売商の橋」という意味で、17〜19世紀に建てられたカラフルな木組みの家屋が並んでできている、ゲーラ川にかかる幅18m、長さ120m、6つのアーチで支えられている珍しい形の橋。
1117年の火事記録に初めてその名前をとどめ、以後6回の火事を経て、ついに石橋へと変わる。
中世には橋の上の左右両側に62軒の商店が立ち並び、遠方から来る行商人たちでにぎわいをみせた。
現在は32軒ほどの、かわいらしいショッピングストリートとなる。
一角には橋の移り変わりを展示しているブリュッケンハウス博物館がある。
- 市庁舎 Rathaus
1871年、ネオゴシック様式で建設された。内部は、タンホイザーとファウストの伝説をテーマにした壁画の他にルターの生涯の場面も描かれているものもある。
華やかな祝祭の間 Festsaal も見学できる。
この市庁舎の前にあるフィッシュマルクト広場 Fisch-markt には、色鮮やかな建物が並んでいる。
広場の中心にはローラントの像が立っている。
- アウクスティノ会修道院 Augustinerkloster:
13世紀中頃、隠修士によって建てられた修道院教会。
1505〜11年に修道士として滞在していたルターが、司祭の位を授けられた後、最初のミサを執り行った修道院である。
聖アウグスティヌスの生涯を描いた1枚のステンドグラス(1340年頃)を収蔵している。
ゴシック様式の回廊を通って、マルティン・ルターが生活し、仕事をした修道院の建物に行くことができる。
宗教改革に関する展示やルターの僧房も公開されている。
入口はアウグスティーナ一通りAugustinerstrasse lO番地。
- ミヒャエル教会 Michaeliskirche
マルティン・ルターはこの教会で1522年に説教を行っている。
1652年にエアフルトの名工ルートヴィヒ・コンペニウスが製作したオルガンもある。
- アンガー美術館 Angermuseum :
1706年のバロック建築。
チューリンゲンの中世美術作品が中心だが、チューリンゲンで作られた磁器やファイヤンス焼のコレクションもある。
周辺の見どころ †
- アルンシュタツト Arnstadt :
南に16km。
8世紀に建設された小さな町だが、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1703年から1707年にかけてこの町に住み、教区教会のオルガン奏者を勤めたことで音楽愛好家の人たちが多く訪れる町。
この教会は、現在バッハ教会と呼ばれている。
マルクト広場 Marktにある「ツム・パルムバウムZum Palmbaum」(しゅろの木)という建物内には市の歴史博物館があり、バッハ記念館と文豪陳列館が併設されている。
古い墓地 Alter Friedhof(バーンホーフ通りBahnhofstrasse)には、バッハ家の人々20名余りの墓がある。
- ゴータ Gotha:
西に25km。
1640年から1918年まで、ザクセン・ゴータ公国の首都だった。
- フリーデンシュタイン宮殿 Schtoss Friedenstein :
1655年完成の初期バロック宮殿。
美術コレクションKunstsammlungは、17世紀のオランダ、フラマン絵画を収めるほか、15、16世紀のドイツ絵画に特にすぐれている
1747年から1767年にかけてつくられたオレンジ栽培園Orangerieなどがある広大なイギリス式庭園も人気だ。