ラ・パス La Paz
概要
バハ・カリフォルニア州最大の港町。
素朴な「平和の町」から行く
ワイルドなダイビング天国
生物相豊かなコルテス海に面した、バハハカリフォルニア半島の南東部に位置するラパス。
スペイン語で「平和」を意味するこの町は、南バハカリフォルニア州の州都。
その名のとおり治安がよく素朴な雰囲気だ。派手な観光名所はないものの、快適なホテルやレストランなどが集まっており、世界中から観光客、とりわけダイバーの人気を集めている。
ラパスは昔から漁場として知られ、漁業と真珠の養殖で栄えてきた。近年はエコツーリズム人気から、シーカヤックやダイビングといったレジャーが盛んに。そして冬場になるとコククジラ(グレーホエール)のウオッチングツアーが頻繁に開催される。
栄養分を蓄えた豊潤な海であることから、コルテス海に点在する244の島峡と保護地区群が世界遺産に登録されたのは2005年のこと。
以来、ラパス周辺の豊富な生物相が注目を浴びている。特筆すべきは海洋哺乳類の種頬の多さ。UNESCOによるとクジラ、イルカ、アシカなど世界で観測されている種のおよそ39%が観測されているという。
また、世界最大の魚であるジンベエザメやハンマーヘッドシヤーク、カジキなどダイバーなら一度は見てみたい大物たちが登場するほか、固有種と呼ばれるここでしか見られないユニークな生き物たちがいっぱい。誰もが一度は潜りたい夢のような海である。
ラパスへのアクセス
空路
ロスアンゼルスからラパス空港(LAP)まで約2時間。
空港からラパスの町までは11km、車で約20分。
ロスアンゼルスからサンホセデルカボ空港(SJD)まで約2時間。
サンホセデルカボ空港からラパスまで車で約3時間。
メキシコシティからラパス空港(LAP)まで2時間30分。
ラパスのダイビング
アシカ、クジラ、ジンベエザメなど、次々に現れる大物に興奮が冷めないところだ。
コルテス海に生物が集まる理由はその独特の地形にある。湾の付け根にあたる北部にはグランドキャニオンを流れる栄養分豊富なコロラド川が注いでいるため、その恩恵にあずかろうとする生物がひしめき合う。プランクトンを食べる小魚が集まり、小魚を食べる中型の魚が集まり、中型の魚を食べる大型回遊魚がやってきて……と、海の食物連鎖が続く。
さらに季節によってプランクトンを主食とするマンタやジンベエザメが豊富なエサ場を求めて回遊してくるため、ラパス周辺はダイビングパラダイスと化す。6~11月の夏・秋は特にダイビングに適したシーズン。シャチやクジラ、ハンマーヘッド、カジキなどが高確率で見られる。さらに9月以降はアシカの子供が一緒に遊んでくれるようになる。
ラパスの海を楽しむための3つの滞在スタイル
一口に「ラパスでのダイビング」と言っても、3つの異なる滞在スタイルが楽しめる。
ひとつはラパスの町に宿をとってダイビングを楽しむタウンステイ、もうひとつは無人島でテント暮らしをするキャンプステイ、最後に船に寝泊まりをして潜り回るダイブクルーズだ。
どれも個性的で、好みに応じて滞在スタイルを選ぶことができるのが魅力。例えばダイビング三昧で過ごしたい人には、人気のスポットを潜り回ることができるダイブクルーズが効率的だし、ショッピングや食事も楽しみたいという人にはタウンステイが便利。
大自然を満喫したい人にはキャンプステイがおすすめ。
どれも日本人ガイドが常時いるダイビングサービスで行われているので、自分のニーズに合った滞在スタイルを選択するといい。
ラパスのダイビングスタイル
タウンステイ
最もオーソドックスな滞在スタイル。ラパスの町は海岸沿いに栄えており、観光客向けのスポットのほとんどが海岸側。町で遊びたい人には町中のホテルが便利だが、静かな雰囲気を好む人には郊外のホテルがおすすめ。
キャンプステイ
沖合の島々のビーチにテントを張り、豊かな自然の中で過ごす人気スタイル。大物スポットへ朝一番で潜れるのがメリット。テントの設置から食事まで、すべてスタッフが行なってくれる。合い間にはシーカヤック体験も。
ダイブクルーズ
2泊3日や3泊4日の行程で、ボートに寝泊まりしながらコルテス海の人気ダイビングスポットを潜り回る。日帰りではなかなか行けない場所まで足を延ばせるのが魅力。イルカやクジラ、シャチとの遭遇率も高い。
ラパスのダイビングスポット
滞在スタイルで変わるスポットの選択肢
ラパスのダイビングスポットはコルテス海の南東部に浮かぶいくつもの無人島の周辺に点在しており、キャンプステイの場合に目の前のビーチで潜ることがあるものの、100%ボートダイビングに近い。
タウンステイの場合はラパスの港から、キャンプステイの場合はキャンプサイトからボートで出発する。トイレ付きのポートが多いので、女性ダイバーにも安心だ。また、昼食はダイビングの合間にボート上でとるか、無人島に上陸する。穏やかな湾にボートをとめ、誰もいないビーチに上陸してのランチタイムは最高の贅沢。ただし、日除けのない場所でとることもあるので、日焼け対策は入念に行なおう。
なお、潜れるスポットは日帰りで行ける所とダイブクルーズやキャンプステイで行く遠い所に大別される。日帰りで行けるスポットはラパス東部のセラルポ島や、北側にあるエスピリットウ・サント島、パルティーダ島周辺。船によって時間が異なるが、アシカで有名な「ロス・イスロテス」や「エル・バホ」などの人気スポットへは、ラパスの港から1時間~1時間半ほど。一方、遠くのスポットでは、「ラス・アニマス」などサンホセ島周辺のスポットが有名だ。
ロス・イスロテス
アシカ(カリフォルニアシーライオン)のコロニーがあることで世界的に有名なスポット。
外周約1kmの岩山のような島に、約400頭のアシカが生息している。水中で一緒に遊ぶなら、9月未頃からがおすすめ。好奇心の強い子供のアシカが、子犬のようにダイバーにまとわりついてくる。ほかにもマアジの大群やバラクーダ、人の握りこぶしほどの大きさがあるファインスポテッドジョーフィッシュなど、見どころは非常に皇宮。何度潜っても楽しめる。
プンタ・ロボ
モブラ(ピグミーデビルレイ)が見られるスポット。7月頃から20尾程度のグループがいくつか見られ、9~10月になるとそれらが一斉に集まるため、海面が見えなくなるほどの数に。
イスラ・バジェーナ 南西側には沈船、北側には通り抜けられるケーブがあり、ケーブ内はウミウチワがびっしり。ブルーの光が美しい出口周辺では固有種のコルテスエンジェルフィッシュが見られる。
サルパティエラ
ラパス屈指の沈船スポット。水深20m付近に全長80m級の巨大フェリーが沈んでおり、潮当たりのよさが幸いして、魚たちの恰好のすみかとなっている。冬場には大型回遊魚も。
次から次へと被写体が現れるラパスの海。水中写真を撮るダイバーにはうれしいサプライズとなる
エル・バホ
ダイバー憧れの大物遭遇率が高い、ラパスを代表するスポット。運がよければ、数百尾のハンマーヘッドの群れや3m級の巨大なマンタ、カジキやジンベエザメ、カツオの大群など、迫力のシーンを目にすることができる。エリアが非常に広く、1ダイブではその一部しか潜れないため、何度も潜りたいスポットだ。ただし流れがあり、水深が深めなので、中・上級者向け。
ラ・レイニ一夕
「ラ・レイーナ」が女王なら、こちらはお姫様。セラルポ島の西側にある小さな根で、バラクーダやロウニンアジなど大型回遊魚がわんさか。さらに砂地にはガーデンイールがびっしりいて、フィッシュウオッチングが楽しい。極めつきはジンベエザメやシャチとの遭遇率わ高さ。移動中も気が抜けないので、ボート上でスタッフと一緒に探してみよう。
ラ・レイーナ
スベィン語で「女王」という意味を持つスポットで、その名に恥じない魚影の濃さがウリ。
ブルーアンドゴールドスナッパーやクレオールフィッシュなどの魚群が多く、迫力たっぷり。
マンタスポットとしても知られており、夏になると、ゆったりとホバリングするマンタにアシカがじゃれるという、ラパスだけでしか見られないであろうシーンが展開されることも。
ラス・アニマス
サンホセ島の沖合にある島の周辺に開拓された数カ所のスポットの総称(「動物の島」という意味)。主にクルーズやキャンプステイで潜る大物スポット群で、ラパスからポートで約5時間。アシカのコロニーがあるほか、魚影も濃くエキサイティング。さらにラッキーならカジキや巨大なハンマーヘッドシヤークの群れが現れる。ときに流れが強いので要注意。(参考資料:観光局)