キャベンディッシュ Cavendish

概要

プリンスエドワード島の北側、セント・ローレンス湾に面したキャベンディッシュ。今も多くの少女たちに人気がある小説『赤毛のアン』に登場するアボンリー村のモデルで、またその作者であるモンゴメリーの故郷でもある。周辺にはアンやモンゴメリーゆかりのスポットが点在し、物語の風景を求めて多くの人々が集まる。

『赤毛のアン』
1908年に第1巻が出たルーシー・モード・モンゴメリーが書いた小説。架空の村を舞台に、明るく感性豊かな主人公アンが、周りの人々に夢や希望を与えながら、大人へ成長していく物語。モンゴメリーの自伝的要素も強く、物語のモデルであるキャベンディッシュをはじめ、物語の背景はほとんど実在している。島でもこれらの場所を大切に保存、修復、再現しているので、読者はアンになった気分で島を巡ることができる。

アトランティック・カナダは冬が長く、寒さも厳しい。観光に適しているのは6月〜9月。風景としてもやはり緑の濃い時期でないと物語に似つかわしくない。観光客は夏期に集中し、冬期は多くの施設が休館となるので注意。


キャベンディッシュへのアクセス

シャーロットタウンから車で約1時間。

キャベンディッシュの主なみどころ

グリーンゲーブルズ Green Gables House
アンが暮らした「緑の切り妻屋根(グリーンゲーブルズ)の家」のモデルとなった。モンゴメリーは従兄弟が住んでいたこの家に、幼い頃からよく遊びに来ていたという。現在、内部にはアンやマリラ、マシュウの部屋が小説の時代設定にあわせて見事に再現されている。

グリーンゲーブルズ博物館 Anne of Green Gables Museum
『パットお嬢さん』に登場する「銀の森屋敷」のモデル。モンゴメリーの叔母キャンベルが住んでいた邸宅で、小さな頃からここをよく訪れていた。彼女が牧師と結婚式を挙げたことでも知られる。現在は『赤毛のアン』の初版本や、直筆の手紙など貴重な資料が展示されている。窓からは、「輝く湖水」を見渡せる。

モンゴメリーの生家 Lucy Maud Montgomery's Birthplace
ニューロンドンにある、1874年にモンゴメリーが生まれた家。1歳9か月で母を亡くしキャベンディッシュの祖父母に引き取られるまでの間、ここで生活した。彼女が生まれた部屋が再現されているほか、掲載記事を集めたスクラップブックなども残されている。

お化けの森 Haunted Woods
グリーンゲーブルズから徒歩約2分、庭から小川を越えたところにある。アンとダイアナが想像した幽霊が出る森。モンゴメリーの住居跡や教会へ抜ける散策コースがある。老木が風を受けて音を立てながら揺れる様子は本当にお化けが出そうな雰囲気。

恋人の小径 Lover's Lane
グリーンゲイブルズの裏手にある、森へ続く木漏れ日が差し込む気持ちいい100mほどの並木道。アンが「恋人の小径」と名付けたこの道から、約1kmの散策コース、バルサム・ホロウ・トレイルが始まる。

キャベンディッシュビーチ Cavendish Beach
キャベンディッシュの街の北、セント・ローレンス湾 Gulf of St. Lawrence に面したビーチ。周辺は、湾に沿ってプリンス・エドワード島国立公園 Prince Edward Island National Park となっており、美しい海岸線が続いている。

フレンチリバー French River
キャベンディッシュからニューロンドン湾を挟んで西に位置する漁村。その美しい風景が有名で、絵葉書などにも使用されることも多い。島内ドライブコースの1つ、ブルー・ヘロン Blue Heron のハイライトにもなっている。幹線道路沿いには、展望場所が用意されている。

ケンジントン旧駅舎 Kensington Station
小説でアンが降り立ったブライトリバー駅のモデルとして面影を残している。鉄道は廃線となったが、駅舎は残され、線路跡はハイキングやサイクリングのコースとなっている。

グリーンゲーブルズ郵便局 Green Gables Post Office
郵便局長だった祖父が亡くなった後、祖母を手伝ってモンゴメリーが働いていた郵便局を再現。実際にはモンゴメリーの住居のキッチンが郵便局だった。現在も夏期のみ郵便局として開かれていて、郵便物にはグリーンゲーブルズのスタンプが押される。

キャベンディッシュ教会 Cavendish Church
グリーンゲーブルズ郵便局のすぐ近くにある小さな教会。モンゴメリーはこの教会で日曜学校の教師を務めていた。彼女が弾いていたオルガンも残されている。

モンゴメリーの墓 Lucy Maud Montgomery's Grave (共同墓地)
1942年、トロントで亡くなったモンゴメリーの墓。キャベンディッシュを見渡せる丘の上前にあり、生前の彼女が選んだ場所に埋葬された。夫マクドナルドとともに眠る墓石前には花壇があり、夏には花で彩られる。

輝く湖水 Lake of Shining Water
グリーンゲーブルズ博物館のそばに広がる湖。小説でアンがグリーンゲーブルズへ向かう途中に名付けた「輝く湖水」のモデルとなった。