3年ごとの収穫祭が有名
ファティマの東約30km,リスボンの北約140km。
人口約1万5000人のナバン川河畔の町。
ポルトガルで最も華やかと言われる収穫祭「タブレイロスの祭り」で有名だ。
この祭りは,現在3年ごとの7月に催されている。
また,マヌエル様式の傑作として知られ,ユネスコの「世界文化遺産」に登録されている,キリストの修道院の「大窓」は,この町で最大の見どころとなっている。

見どころ
キリストの修道院 Convento de Cristo
町を見下ろす丘にある修道院。テンプル騎士団のグアルディン・バイスが,イスラム教徒軍に対する防衛のため12世紀に築いた城壁内にあり,建設は17世紀にまで及んだ。
レコンキスタの遂行とともに権力・財力をつけたテンプル騎士団は,1314年にフランス王フィリップの圧力で解散を命じられる。ポルトガル王ディニス1世は,代わりにキリスト騎士団を創設し本拠地をここに置いたのが,キリストの修道院の由来である。
後にキリスト騎士団の団長となったエンリケ航海王子は,アルガルヴュに移るまでここに住んだ。
15世紀の初め頃,騎士団は黄金期を迎え,その資金は大航海時代への大きな力となったのである。
スペイン人建築家による,プラテレスコ様式風の華麗な教会入り口を入ると,すぐ右手には「テンプル騎士団の円堂」と呼ばれるドームがある。12世紀にエルサレムの聖墓を模して建てられた最も古い部分で,2層の8本の柱が支えるビザンチン風ロマネスク様式−だが,絵画・木彫は16世紀のポルトガル画家によるもの。
 左手に向かった「ジョアン3世の回廊」はイタリア・ルネッサンス様式の主回廊。
この回廊は,ポルトガル王セバスティアンがモロッコで殺されたことに乗じ,1581年,スペイン王フェリペ2世が,ポルトガル王フィリペ1世たることをここで宣言したことから「フィリペの回廊」とも呼ばれる。
さらに北に隣接するサンタ・パルバラの回廊に出ると,テラスの上にこの修道院最大の見もの,「大窓」が見える。マヌエル様式の典型とされる装飾である。教会入り口も手掛けたディオゴ・デ・アルーダの彫刻
による1581年の作で,大航海の時代をモチーフにした綱,鎖,海藻,そして木の根などがダイナミックかつシュールに窓枠の彫刻に表現されている。
 そのほか,エンリケ航海王子の命で造られた,15世紀ゴシック様式の「沐浴の回廊」など,見どころの多い修道院である。
開館:9:30〜12:30,14:00〜18:00
(冬季17:00)