(シチリア州) メッシーナから255km、島の西北部に位置し、シチリア島最大の都市 人口:約90万人 ●イタリア本土からのゲートウェイになっている。 ●シチリア島の中には古代ギリシャの遺跡がたくさん残されているが、このパレルモには全くない。古代ギリシャの遺跡が巨大で印象に残りやすいため、このパレルモで見学するものは数多くあるのにもかかわらず印象に残りにくいとされる。 ●ギリシャ人がシチリアに入ってきたときには、パレルモにはフェニキア人が紀元前9世紀頃からしっかり根を張っていて地中海貿易で繁栄していた。何度となくギリシャ人が植民地化を仕掛けるが、フェニキア人の力の強さの前では望みは遠かった。ギリシャ人がパレルモに入ることはついにないまま時代が進んで、ギリシャに代わって他の海外勢力が次々に島全土を支配下に治めるにいたり、パレルモもビザンチン帝国からアラブ、ノルマンと支配者が変わることで変化を遂げた。各時代の異文化が入り混じって奇妙な都市が生まれ育ってきた。そこにできた建築様式も変わり(建設途中に変わるものもあった)、他にない珍しい景観が残された。とりわけ北のノルマン王朝がこの都市を制覇したとき、それまでアラブ・イスラムの建築が多く残されていたものを破壊せず、融合を図ったため、北ヨーロッパとイスラムとのミックスされたものが残されることとなり、とりわけ北ヨーロッパの人たちには心地よいものに映り、ゲーテに「世界で一番美しいイスラムの都市だ」とさえ言わしめた。 アクセス ●空路 国際線:ヨーロッパの都市からの直通便はない。北アフリカ・チュニス(TUN)(チュニジア)から週2〜3便。 日本からはミラノまたはローマ行きの直行便(JLまたはAZになる)を利用すれば、乗り継いで同日到着することができる。ヨーロッパのほかの都市を経由する便では同日到着はできない。 国内線:ローマ、ミラノ、ナポリと頻繁に往復している。ボローニャ、ヴェネチア、ジェノバからも数便ある。 ●空港: プンタ・ライシ Punta Raisi(PMO) 市内から32km ●鉄道 ローマから直通列車がある。11時間30分(IC)、メッシーナからは1日3便。 見どころ 多くの見学ポイントで建物の中へ入る場合には、ノースリーブ、半ズボン、短パン、サンダルなどでの教会への入場が厳しく禁止されている。 ●クワトロ・カンティ Quattro Canti イタリア語で四辻の意味。パレルモの中心地点。17世紀に造られたさほど大きくない広場で、四角の建物は円く角をえぐられたようになっていて、各建物は3段の壁画をデザインしている。下から四季を表現した4つの噴水、中間が歴代スペイン総督の像、上が町の守護聖女像(聖クリスティーナ、聖ニンファ、聖オイーヴァ、聖アガタ)で飾られている。 ●大聖堂(カテドラル) Cattedrale 小さな建物がぎっしり詰まったようなパレルモ市内の中で、ここだけがひときわ目立つ壮大な建造物となっている。 この町を征服した民族の歴史をそのまま映し出しているような変化をしてきた寺院である。もともとバジリカ様式の寺院があったところに建立された寺院をアラブ人がモスクに改装し、ノルマン人により再びキリスト教会に作り替えられた。15世紀以来1〜2世紀ごとに改修がなされ、ノルマン人による町の繁栄とともに大きなものになっていった。内部にはそうした時代のノルマン王家の墓がある。 ●サン・カタルド教会 San Cataldo ベッリーニ広場に面していて、3つの赤い丸屋根がシンボルの教会。ノルマン時代1160年頃に建てられたもので、アラブ風ノルマン様式。 ●マルトラーナ教会 Chiesa dilla Martorana ベッリーニ広場に面している。1143年海軍総督ダンティオキアの要請により建てられたもの。翌年近くのベネディクト会のマヤルトラーナ修道院に委譲されて現在の名になる。 内部の金色のモザイクがシチリア最古のビザンチン様式のものとして見ごたえのある傑作となっている。 ●ノルマン王宮 Palazzo dei Normanni パレルモ最大の見学スポット。古代ローマ支配までに築かれた城塞の跡地にアラブ人が11世紀に城壁を築いた。そののち12世紀ノルマン人の支配下に変わってアラブ城壁を改修・増築し、豪華な王宮として作り替えられ、フリードリッヒ2世のもとでヨーロッパの最高レベルのものとなっていた。 王家ホーエンシュタウフェン家の衰退と共に王宮も放置され一時期荒廃していたが、1555年以後、再び生き返り、1555年以後の外国の支配が変わるたびに増改築が繰り返されますます豪華絢爛なものになっていった。 現在はシチリア州議会堂として使われている。外部はシンプルな造りとなっているが、内部は贅の限りを尽くしている。2階部分のパラチーナ礼拝堂 Cappella Palatina は壁面いっぱいに黄金のモザイクが敷き詰められていて、まさにパレルモ観光のハイライトにふさわしい。 ●サン・ジョバンニ・デッリ・エレミティ教会 San Giovanni degli Eremiti ノルマン王宮とパラチーナ礼拝堂のぎっしり詰まった黄金のモザイクを見学した後に来るとガランとした内部の空間になんとなく一息つく感じとなる。赤い5つの丸屋根が象徴するようにアラブ風の建物である。ノルマンの支配下に入って初めのルッジューロ2世の要請によりアラブ人の職人の手で1132年に建てられたもの。 ●マッシモ劇場; 屈指のオペラ劇場 1897年に完成、1974ねんから23ねんかん改装のため閉鎖され、1997年に再開。 外周敷地面積は7730u,パリ(11235u)、ウイーン(8750u)に次いで3番目に大きい。舞台の奥行きは28.58m、置く舞台を含めると52mと最大。劇場は平土間層(プラティーア)と5層のボックス席、その上に天井桟敷(ロッジョーネ)。座席数約1300. 正面の広い階段は、コッポラ監督の映画「ゴッドファーザーV」でマフィアの大ボスがねらわれ、銃弾がそばにいた愛娘の胸を貫通したシーンに使われた場所。この階段の両脇には獅子像が鎮座している。 近郊の見どころ ●モンレアーレ Monreale パレルモの南8kmの内陸部。パレルモの町や港が一望できる。標高310mカプート山の上にある。 町の中心ヴィットリオ・エマヌエレ広場にはこの町の最大の見どころとなるドゥオモDuomoがある。内部はビザンチン様式のモザイクで旧約・新約聖書の話がぎっしり描かれている。隣接してベネディティーニ修道院がある。 食べる シチリアはジェラート発祥の地。 パンにジェラートをはさんで食べる。朝食から食べている。 エンタメ ●シチリアの人形劇 操り人形を街のお土産屋で見かけるが、19世紀から続く人形劇は街のあちこちで見ることができる。 --パレルモブービ人形劇場 |