グッピオ Gubbio 標高522m。 ウンブリア州ペルージア県。 人口約33000人 概要 広大な平地と周囲の丘陵を見下ろすインジノ山Monte Inginoの険しい斜面に築かれている。山の中腹から頂に町が広がっている。 おもな通りは山腹を並行に走っていて,路地や階段が石灰岩の家々の間をぬっている。 城壁に囲まれた町に、ロマネスク式の瓦をのせた黄土色の建物の並ぶ。 町の起源は古く、ローマ時代以前のエトルリアの時代まで遡ることが出来る。 エトルリアとラテンのアルファベットを用いた古ウンフリア語で書かれた「ユクビウムの銅板 Tavole Eugubine」が,コンソリ館 Palazzo dei Consoliに残されており,ローマ時代以前の都市であることの証となっている。 町には何軒もの陶器の店が目につく。 中世以来、グッピオでは陶器づくりが行われていた。16世紀初めには、この町で金属的な光沢をもつことで有名な「赤のうわ薬」が発明され、投機産業は大いに盛り上がっていった。 アクセス バス: ペルージアからが比較的便利だ。 所要1時間10分、1日10本 週末を除くと、数本の直通バスが出ている。 ペルージア自体あまりアクセスのいいところではないので、大都市からの日帰りでは、グッビオまでは無理がある。ペルージャ滞在がおすすめだ。 バスターミナルは、町の入り口のクアランタ・マルティリ広場にある。 帰途の乗車券はイージー・グッビオ観光案内所 Via della Repubblica 13で購入する。 ミニバスがクアランタ・マルティリ広場とケーブルカーの駅や主な観光スポットをつないでいる。 鉄道: 最寄の鉄道駅は、グッビオの南東約20kmにあるフォッサート・ディ・ヴィーコ Fossato di Vico。 フォリーニョ-アンコーナ間を結ぶルートになる。ローマ・フォリーニョ・アンコナ間のIC特急もあるが、グッビオへの接続バスが不便だ。 フォツサート・デイ・ヴィーコ駅とグッビオとの間は、バスが1時間おきに運行している(30分)が、列車の到着時間に接続していないので、長い時間駅で待たなければならない場合がある。 これらを考えると、鉄道よりバスの方が便利だ。 車: 山に囲まれた地域で、周辺には高速道路がないので、結構時間がかかるが、交通渋滞はほとんどない。町の入口のクアランタ・マルティリ広場には大きい駐車場もある。(有料) 旧市街 Citta Vecchia グッビオの町は小さく、とても散策しやすい。 バスや車で到着する駐車場のあるクアランタ・マルティリ広場 Piazza Quaranta Martiri。この広場からは町の全体を見上げることが出来る。 広場の名前(40人の殉国者)の意味は、1944年にゲリラ活動に対する報復としてナチスに殺された40人の市民の犠牲者に捧げられた広場のことである。 ここからメインストリートのレプッブリカ通り Via della Repubblicaの急な坂道を少し上ると、町の中心のシニョリーア広場Piazza della Signoria(またの名をグランデ広場 Piazza Grandeという)に着く。 その途中で右手のガリバルディ大通りCorso Garibaldiに入ると、オデリシ広場Piazza Oderisiに出る。 立派な塔がそびえる家々や、宮殿、小さな広場、あるいは岩壁にへばりついたような隠者の庵を見物することができる。グッビオの家の特徴は、1階は商店に使われ、その上の階に住居があり、3階には羊毛を保管する回廊があることである。また、そのファサードは、煉瓦と切り石と砕石とが交互に積まれた構造をもち、そこにはしばしば、正門より小さな2番目の扉が設けられている。これは「死者の扉」と呼ばれ、ここを通って棺が外に出された。 旧市街の城壁の南端にあるロマーナ門 Porta Romana を出て、左へ少し進んだところにリフト(フニコラーレ)の乗り場はある。 鳥かごのような立ち乗りの2人乗りで、足元が透けているスリリングなリフトで、10分でサントウバルド聖堂 BasiIica di Sant Ubaldoに着く。 リフトの上からの眺めはすばらしい。旧市街が一望でき、町外れにあるローマ劇場跡まで眺望できる。 見どころ コンソリ館 Ppalazzo dei Consoli シ二ョリーア広場 Plazza della Signoria に面している建物の中で、目立っているゴシック様式の建物。 地元の石の角材で造られた優雅な建物。 狭間と優雅な小塔が上部に施されている。1332−49年にかけて建てられた。 内部には有名な青銅製の「ユクビウムの銅板 Tavole Eugubine」が保存されている。 月曜休館。 コンソリ館の正面には、現在の市庁舎として使われている14世紀のプレトリオ館 Palazzo Pretorio が建っている。 ドゥカーレ宮殿 Palazzo Ducale 1476年から建てられた。 設計者フランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティ一二がウルビーノのドゥカーレ宮殿から着想を得たもの。 こまやかに装飾された優美な中庭や、フレスコ画や美しいマントルピースで飾られたいくつかの部屋がある。 中庭は,気品あるルネッサンス様式の円柱が並ぶ柱廓が3辺に施されている。 澄んだ石と赤レンガの2色使いによっていきいきとした感じが出ている。 見学は中庭のみ。 ドゥオーモ Duomo ドゥカーレ宮殿の向かいにある14世紀に建て直されたピンクの大聖堂。 この町で標高が最も高い場所にある。 ロマネスク様式の最初の大聖堂があった場所に,14世紀初めにゴシック様式で建て直された。 見どころは16世紀に改造されたファサードの美しいステンドグラスの窓ぐらいである。 14世紀のゴシック様式の大聖堂にあったいくつかの彫像がバラ窓周辺に用いられている。内部は大きなゴシック様式の横断アーチが施されている。 古代ローマ劇場 Teatro Romano アウグストウス帝の時代に建てられた。 クアランタ・マルティリ広場の南西、テアトロ・ロマーノ大通りから入ったところにある。ローマ時代の円形劇場(1世紀)の遺構であり,現在でもさまざまな催しに利用されている。 サン・フランチェスコ教会 Chiesa di San Francesco クアランタ・マルティーリ広場に面している。 13世紀建造の修道院の教会。ロマネスク様式の扉口で飾られた未完のファサードをもつ。左の側壁には対の扉口とバラ窓が開いている。 15世紀の鐘楼が多角形の3つの後陣の上方にそびえている。 この後陣は,建造当時のまま保存されている部分の一つ。 3廊式の荘厳な内部には,ヴオールトと両側の祭壇(18世紀)がある。 左の後陣にある、地元の画家オッタビアーノ・ネッリによる連作のフレスコ画「聖母の生涯Scene della Vitadi Maria」(15世紀初頭)が見どころになっている。 隣接している修道院の平和の回廊Chiostro della Paceに古いモザイクが残っている。 サン・ジョヴァン二・バッテイスタ教会 San Giovanni Battista 13世紀の建造物。正面にゴシック様式の大きな扉ロが開いており,脇には鐘楼がそびえている。単廊式の内部には,ゴシック様式のアーチが横断しているが,これはとくにグッビオで流行した形である。 サン・ドメニコ教会 San Domenico 旧市街の北の方、 コンソリ通りのはずれにある,ジョルダーノ・ブルニーノ広場 Piazza Giordano Brunoにそびえている。 14世紀に建てられたこの教会は,未完の簡素なファサードをもち,ゴシック様式の内部は18世紀に再構築されている。 入口近くの礼拝堂は,14−15世紀の地元の画家によるフレスコ画で飾られている。 サンタ・マリア・デイ・ライチ教会 S.Maria dei Laici 1313年に建てられた小さな教会で,18世紀にはファサード が新しくなり,内部にはグッビオ出身のフェリーチエ・ダミアー二Felice Damiani(16世紀後半)のカンバス画と,フェデリコ・パロッテFederico Barocci作の「受胎告知Annunciazione」(弟子によって1612年に完成)が保存されている。 サンタ・マリア・ヌオーヴァ教会 Chiesa di Santa Maria Muova バルダッシーニ通り Via Baldassiniの延長であるサヴェッリ・デツラ・ポルタ Via Savelli della Portaの終点近くにある。 14世紀の建造で、側壁には柱廊が施され,正面には三葉飾りの扉口が開く,17世紀に再構築した内部には,オツタヴイアーノ・ネッリのフレスコ画「ベルヴェデーレの聖母 Madonna del Belvedere」(1408年か1413年)が描かれている。 グッビオ周辺の見どころ フアブリアーノ Fabriano 東に36km。この小さな工業都市は、13世紀以来その紙製造所で有名である。 町の中心には、コムーネ広場 Plazza del Comuneにいかめしい市長館(13世紀)が建っている。広場は優美なゴチック様式の噴水で飾られている。階段を通って、魅力的で静かなドゥオーモ広場 Piazza del Duomoに至る。ここには15世紀の病院や大聖堂がある。大聖堂にはアレグレット・ヌーツィのフレスコ画がある。 |