ヘレンド Herend
概要
バラトン湖の北西部、バラトン湖畔の街からバスで約2時間に位置する小さな村。
1826年、この村で創業、以来、窯の火を消すことなく作り続けている。
小さい村ながら製品は世界中に輸出されている。
ハンガリーが世界に誇る伝統工芸、ヘレンド磁器である。
人口の3分の1が磁器づくりに関わっているヘレンドはまさに工芸の町。
ハプスブルグ家の保護のもと、ヨーロッパ各国の貴族、王家でされ続けている陶磁器。
マイセン、セーブルなど、他のヨーロッパの窯元より1世紀以上遅れてのスタートだった。時代が変革の中で大量生産の時期になっても、ヘレンドは頑なに手作りにこだわり続けてきた。
現在でも、この道30年のベテラン職人たちが手作り、手書きの伝統を守っている。
熟練の技を持つ職人だけが造りだすことができる。優美な器。
ひも状にした粘土を組み合わせて作るバスケットはすべてが手作りならではの新たな曲線を描きだす。
ヘレンドの磁器は薄く、軽く、白く透き通った肌合いが特徴である。
熟練の技を持つ職人だけが造りだすことができる優美な器。
ひも状にした粘土を組み合わせて作るバスケットはすべてが手作りならではの新たな曲線を描きだす。
器の大切な装飾バラは花弁の一枚一枚から作ることから始める。
微妙に異なる厚みや大きさを見極めるのは職人の手とカンで丁寧に組み合わせていく。
まるで本物のバラのようである。
透かし彫りの器では、透かし彫りのカットワークは折る順番を間違えると形が崩れてしまう繊細な作業。一瞬たりとも気が抜けない。
だからこそ、多くの人を魅了する華麗な器に仕上がる。
絵付も顔料の加減でそれまでの努力が無に帰することになりかねない。
ヘレンドの得意とするモチーフは花や蝶、鳥などの可憐な姿。
東洋風の蝶や花を随所に描き、中国や日本の様式を取り入れながら、東西文化を融合させた独自のスタイルと世界観を築き上げて、ヨーロッパ有数の陶磁器ブランドとして発展してきた。
沢山の有名な窯元が存在するヨーロッパの中でヘレンドが知られるようになったのは、
1851年ロンドンで開かれた万博だった。
その時出品されたのが「ヴィクトリア」だった。
見学に来ていたヴィクトリア女王がひと目で気に入り、王室のディナーセットとして注文。ヘレンドは世界の名磁器の仲間入りを果たした。
イギリス女王が選んだと聞き、ヴィクトリア・ブーケと命名し、それが上流階級の人々がヴィクトリアシリーズをこぞって同じものを買い求めたという。
ヘレンドは製品のモチーフに注文主の名前を付けて敬意を表することで新たな顧客を増やしてきた。シリーズに王侯・貴族の名前がついているものが多い。
世界中にファンがいる人気のシリーズは、「ロスチャイルドバード」で、ウイーンの貴族ロスチャイルドに納めたことに始まる。鳥の絵柄は全部で12種類ある。
「ウイーンのバラ」はハプスブルグ家に愛された歴史あるパターン。ハプスブルグ家の御用達だったウイーン窯が閉鎖によって継承されたデザイン。立体的に配された高貴なバラが特徴で、日本人にも人気のあるシリーズだ。
「インドの華」は日本の柿右衛門の影響を強く受けたというシリーズ。1867年に開かれたパリ万博にも出品された。
当時、ヨーロッパで脚光を浴びていた日本趣味、ジャパネズリ(ジャポニズム)を取り入れたインドの華はヘレンドのロングラン作品となっている。
予約すれば、ヘレンド本社のカスタマーセンター内の工房で、形成、パーツ造り、色塗りなどの工程を見学できる。絵付けに使われている府ではリスの毛が使われている。線描きしたものの上から塗り絵のように彩色していく。焼きあがった時の色が変化することを予測して塗らなくてはならない。
本社屋の隣にヘレンドの陶磁器を8千点以上も収蔵し、一挙公開しているヘレンドミュージアムもある。Porcelanmuveszeti Muzeum
土産ショップも隣接。
併設レストランでは、ヘレンドの食器、ヴィクトリアシリーズを使っている。
http://www.herend.com/hu