ラスコーの洞窟 Grotte de Lascaux
概要
最寄り駅;レゼジー Les Eyzies
駅から車で20分かかる。
この周辺には1万5千年前の人類が住んでいた洞窟がたくさんある。
この一帯は石灰岩の断崖などから、先史時代の遺跡が数多く見つかり、ヴェゼール渓谷の先史的景観を装飾洞窟群として世界遺産に登録されている。v
その代表がラスコーの洞窟壁画である。1868年にクロマニヨン人の骨が発見されて以来、フランスの考古学研究の中心地になっている。
この周辺の洞窟はいずれも崖の中腹にあり、周辺は木々で覆われ見つけにくい。
1万5千年位前に人類が住んでいた住居跡である。
夏も冬も温度が13度くらいに保たれるから、すごく快適に過ごせるのだ。
近くの川にやってくるシカなどの獲物が見えて狩りにも理想的だった。
ラスコーの洞窟
森の中にたたずむモダンな建物。
ラスコーの壁画の実物は保存のため、誰も見ることができない。
この建物の地下に完全に再現したものが見られるように造られている。
見物客はその再現洞窟を専任ガイドの案内で見学するようになっている。
実際の洞窟はすぐ裏山にあって、それをこの博物館で完全に再現している。
1940年9月12日、4人の少年が穴に落ちた飼い犬を探していた時、洞窟を偶然に発見した。
「旧石器時代の壁画の発見」のニュースは世界を駆け巡り、多くの人が見に来るようになった。
しかし、人間の吐く息や微生物による劣化が進んだため、1963年に洞窟は閉鎖。
それでまったく同じようなサイズの洞窟と壁画を再現することになった。
ここには2万年前にクロマニヨン人によって描かれた2000以上の絵が残されている。
動物の絵が多いが、これらは当時いた動物をそのまま描いたものではないという。
中には二角獣が描かれているが、空想の生き物である。
この洞窟は家というより神聖な場所であったようだ。
クロマニヨン人はアートとして聖なるものを描いていたようだ。
中には黒い馬の絵があるが、左から右に走る様子が一枚一枚連続写真のように描かれている。カメラのない時代に一つ一つの動きを正確にとらえている。
絵を描く技術や文化があったようだ。
洞窟全体を完全に再現している。当時の金額で邦貨にして80億円の予算をかけて2016年にオープンした。本物同様、200mもつづいている。まさに2万年前の壁画のタイムカプセルである。
人類の先祖たちの心情や文化がアートとして表現されていて、それを現代のわれわれが目の前に見ることができるのである。