グランヴィル Granville
概要
モンサンミシェルの北23km、カーンの南西99kmにある。
岩の半島を利用して作られた。港はその美しさから北のモナコと呼ばれている。
この町はかつて海賊の本拠地として栄えたという。
モンサンミッシェルの要塞を果たした時もあった。
そして19世紀以降、リゾート開発が進み、今ではモンサンミッシェル湾に面した海辺の保養地として大人気の町。
クリスチャン・ディオールの生まれたところ。 ディーオール博物館がある。
世界的なファッションデザイナーのクリスチャン・ディオールが生まれ、少年時代を過ごした町としても知られている。
父親は実業家であったディオールの生家は、海が見渡せる断崖の上に立つピンク色のかわいらしい館で、現在はディオール博物館として公開されていて、彼がデザインした服などが展示されている。
館の周囲は庭園で包まれている。彼の母が設計したといわれ、緑の芝と咲き乱れる花々のコントラストが美しい。kbt
アクセス
パリ・モンパルナスMontparnasse駅から在来線の直通列車が終点グランヴィルまで運行されている。(3時間~3時間半)
モンサンミッシェルが近いので、この辺りに滞在する向きには、日帰りするとゆっくりできる。
クリスチャン・ディオール博物館 Musee Christian Dior Granville
(Ovniより転載)
駅から浜辺の遊歩道まで歩いて、そこの岸壁に造られた小径を登ると イギリス海峡を一望できる高い丘に出る。丘の上にひろがる庭の中央に、戦後オートクチュールのデザイナーとして活躍したグリスチャン・ディオール(1905-57)が幼少期を過ごした、淡いピンク色の家が建っている。
この町で肥料工場を営み財を成したグリスチャンの父・モーリスは、19世紀に建てられたこの家を、1906年、息子クリスチャンが生まれた数ヵ月後に買った。前の所有者は船主で羅針方位(les rhumbs)をタイルで床に描き、家を「Les Rhumbsリュンブの家」と呼んでいたため、今でもそう呼ばれている。
「北フラ冫スのモナコ」の異名をとる風光明媚なグランヴィルは、19世紀末から富裕層に人気の避暑地となっていた。母・マドレーヌはこの3階建ての大きな館をベルエポック調の住まいにし、クリスチャンと共に草花を愛で、庭づくりに采を採った。庭にあった温室を撤去して、「庭のサロン」として蔓棚を作りテッセンや蔓バラを這わせ、噴水のある四角い池をデザインしたのはクリスチャンだった。
2階に両親と祖母、5人の姉妹兄弟全員の部屋があったのだが、クリスチャンがこの家
で一番好きだった部屋は、3階の海側にあるlingerieと呼ばれる部屋。そこに行くとお手
伝いさんや縫い子さんたちが悪魔の話をしてくれたり、わらべ歌や子守唄を歌ってくれ、クリスチャンはランプの灯りで彼女たちが裁縫するのを夜が更けても眺めていたという。ディオール一家は家を買った5年後にパリに引っ越したので、住んだのは5年ほどだが、
世界大恐慌の影響で31年にこの家を手放すまでは、別荘として定期的に訪れた。「両親
がパリに住むことを決めたために、私は5歳の時、このように甘くゆったりとした地方の生活から突如引き離されたのです。私の幼少期は、嵐の晩、霧笛の音、葬式の教会の鐘の音、ノルマンディーの霧雨のなかで育まれました」。
それらすべてが懐かしい、さらに「私の人生、スタイル、ほぼすべてのものが、あの家の立地と建築に負うものです」と、自伝「クリスチャン・ディオールと私」のなかで綴っている。ディオール家が手放したあと、1938年にグランヴィル市の所有となり、97年にはクリスチャン・ディオール博物館となった。