南フランスの地中海沿岸、マルセイユより西側の一帯がプロヴァンス地方。
その歴史は古くギリシア時代にまで遡る。
植民都市となったローマ時代の大繁栄は、アルルやニームの円形劇場やポン・デュ・ガールなど数々の遺跡が今に伝えている。
9世紀のプロヴァンス王国創設後も、15世紀後半にフランスに併合されるまで数々の侵略が繰り返された。なおプロヴァンスの名は、プロヴィンキア(植民都市)に由来する。
歴史の中で生まれた独自のプロヴァンス文化があり、オリーブオイルを効かせた郷土料理のほかにも、陶器、天然素材の石鹸、またコットン・ファブリックやサントン人形などの素朴な伝統工芸品も多い。
大自然と関わる田舎の素朴な生活がプロヴァンスのイメージとなっている。全般に温暖といわれる気候も、夏は暑く、冬にはミストラルという強風が吹き荒れる。
ゴッホやゴーギャン、セザンヌら印象派の画家たちは、アルルやエクス・アン・プロヴァンスなどプロヴァンスの魅力に惹き付けられ、名作の数々を描いている。
彼らのゆかりの場所をたどるのも旅のテーマのひとつとなっている。
世界的なベストセラーとなったイギリス人作家ピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12か月』の舞台でもある。