概要 |
-ジュラの高地谷、標高約1000mに位置する。 -17世紀からの歴史を持つ時計職人によるスイス最大の時計産業の町となっている。 もともと農業に向かない町であったため、工業が発達し、良質な水と空気が精密機械の製造の発展を促した。 -16世紀、ジュネーヴに君臨した宗教改革者カルヴァンが、金銀細工師に「教皇や偶像崇拝に役立つような十字架、聖杯等の製作」を禁じ、彼らを時計製作に従事させたことから時計の製造が拡大してきた。 -フランス領内の田舎に亡命してジュネーヴに到着した新教徒ユグノーたちがもたらした時計作りの優れた知識と技術により、一段と盛んになっていった。 -1794年の大火で町はほとんど潰滅したが、その後、整然とした幾何学的プランに従って再建された。 -住民の多くはいまだに時計産業に従事しているが、かげりの見える同産業を補って、マイクロテクノロジーをはじめとする新しい産業や、第3次産業部門が発展しつつある。 とはいえ、時計の生産量は年間6000万個以上で95%が輸出され、その数は全世界の生産高の10%、価格で45%にもなる。 -スイスをはじめ多くの外国の郵便切手の製造地としても知られている。 -町出身の有名人には、 --自動人形の製作で知られたピエール・ジャケ=ドロズ(1721-90)。 --画家レオポルド・ロベール(1794〜1835)。 --自動車製作のルイ・シュヴロレ(1878〜1941)。 --作家フレーズ・サンドラール(1887〜1961)。 --建築家であり都市工学者ル・コルビュジェ(1887〜1965) などがいる。 |
データ |
-人口:約40000 -標高:992m -言語:フランス語 |
アクセス |
鉄道 ビール/ビエンヌまたはヌシャテルからローカル線。 ビール/ビエンヌから約40分、日中は1時間ごと |
ラ・ショー・ド・フォンの見どころ |
国際時計博物館 Musee International D'Horlogerie 1902年に創立。 「人間と時間」というテーマで、古代からの時間の尺度に関する歴史をスイス内外の30OO点を展示。 鐘塔の大時計のメカニズムを見下ろしながら歩道橋を進むと、メインホール0多くのガラスケースの中に、古代の最初の時間測定器やルネッサンス時代、17〜18世紀の時計から、航海用の時計、各国の振子時計、珍しい天文時計、音楽時計、19世紀の自動人形など。 さらに天文振子時計、原子時計、水晶時計などもある。 館外には1980年に建てられた巨大なカリヨンがある。 15トンの鋼鉄製パイプと彩色薄片を用いた、イタリアの彫刻家オネリオ・ヴイニヤンドの作。15分毎にチャイムを鳴らし、夜は照明で照らし出される。 美術館 Musee des Beaux-Arts ラ・ショー・ド・フォン出身の芸術家たちの作品を展示する。 庶民紺青景を好んで描いたロマン主義の画家レオポルド・ロベール(1794〜−835)など。 1部屋を占めるル・コルビュジェ(タピスリー「音楽家たち」)も見どころ。 |
ラ・ショー・ド・フォン周辺の見どころ |
シャトー・デ・モン Chateau des Monts 8km先、ル・ロックル Le Locleにある。 よく手入れされた庭園の中に立つこの18世紀の古典様式の舘に、歴史博物館、時計博物館がある。 3階が時計博物館 Musee d'Horlogerie。 日時計、天体観測器、水、火、油、砂をそれぞれ用いた時計など、数多くの貴重な昔の時計がある。 ラ・サーニユ La Sagne 南ヘ15km, 17世紀ダニエル・ジャン・リシヤールが生まれた村。 丘の中腹にある15、16世紀の教会は、一部1891年に、さらに1952年と1983年に大幅に修復された。 身廊は尖頭形ボールト。ステンドグラスに代わる現代の緑、黄、灰色\紫などの淡い色調のガラス窓がある。 ヴュ・デ・ザルプ Vue des Alpes 標高1283m。フィンスターアールホルン、ユングフラウ、ヴアイスホルン、タン・ブランシュ、モン・ブランなどが眺望できる。 -テート・ド・ラン Tete de Ran 標高1422m、 ヴュ・デ・ザルプから3km。 石の多い急な山道をたどって頂上に至れば、ヴュ・デ・ザルプより一段とすばらしいパノラマが得られる。テート・ド・ランからは、アルプスの前景としてぐるりと、リュの谷Val de Ruz、シャスラル山脈、ショーモン山脈などジュラ山地も見える。 樅の林にさえぎられて北西側は視界がきかないが、ヌーシヤテル湖は大部分が見える。 ヴァランジャン Valangin 人口406。 12−15世紀の美しい城のふもとの小さな町。 城は上部が削取られた円塔を備えたいかめしい城壁に守られている。 16世紀の、十字形をしたゴチック様式の美しい参事会教会(内部に興味深い墓石や墓銘板)、時計塔付きの町のゲート、16〜17世紀の古い家などが昔をしのばせる。 |
ラ・ショー・ド・フォンのル・ロックル時計製造都市計画(2009年世界文化遺産) |
ラ・ショー・ド・フォンのル・ロックル時計製造都市計画(2009年世界文化遺産) La Chaux-de-Fonds / Le Locle watchmaking town-planning -1679年、一人の馬商人がロンドンからヌーシヤテルの「高地」に、1個の懐中時計を持ち帰った。 -人々の感嘆の的となった時計はしかし、ある日ついに止まってしまった。 -ラ・ショー・ド・フォンに近いラ・サーニュ村の人々は、手先が器用なことで有名な若者ダニエル・ジャン=リシヤール Daniel Jean-Richardに時計を見せるよう、馬商人にすすめた。 -ふたたび時計を作動させた若者は、そのメカニズムを研究し、自分も時計を製作しようと決心し、自家製の道具を使って、長い模索の後、それに成功した。 -ル・ロックル Le Locleに落着いたダ二エルは、多くの職人を育て、時計産業はヌーシヤテル山地、やがては全ジュラ地方へと広がっていった。 |
(参考資料:スイス政府観光局など) |