概要
-湾曲したアーレ川に抱かれるようなところの誕生した町。
-スイス連邦の首都として政治の中心地となっている。
-街の名前はシンボルでもある熊に由来する。
-淡いイエローグリーンの砂岩で作られている。
-旧市街はヨーロッパ最長といわれる6kmの石造りのアーケードや、聖人などの彫刻を施した11の噴水が点在し、13世紀の城門の跡につくられた時計塔などがあり、中世の雰囲気をとどめている。
-1983年に旧市街がユネスコの世界遺産として登録されている。
-大学都市ベルンは、学術研究の中心地でもある。
-スイスを代表する画家ホドラーは、1853年このベルンで生まれている。

データ
-人口160,000
-標高540m


アクセス
鉄道
チューリッヒから特急ICで1時間20分
ジュネーブから特急ICで1時間45分
どちらも空港駅発着便がある。

旧市街
ベルン中央駅前広場Bahnhofplatzからアーケード街、シュビタールガッセSpltalgasseとマルクトガッセMarktgasseは歩行者専用となっていて散策に最適だ。
途中には。花々が美しい色どりの噴水がある。
全長6kmのアーケードは復活祭から10月末まで、主な記念建造物が夜間照明されている。
-マルクトガツセ(Marktgasse)
エレガントで活気に満ちた、旧市街のメインストリート。
高級ブティックや花売りの屋台が並ぶ。
ラウベンと呼ばれる石造りのアーケードを伴った17、18世紀の家並が続く。
-クラムガッセ(Kramgasse)
マルクトガッセに続くクラムガッセ(露天通り)は、一段とにぎやかだが、やはり昔の面影を色濃くとどめている。時計塔を過ぎて、最初の右手の通りにエルカーと、角に小塔を備えた古い家々が点在する。
この通りの49番地には、1921年ノーベル物理学賞を与えられたアルベルト・アインシュタインが、1905年、相対性理論を執筆したという建物がある。
クラムガッセを端を左折するとクロイツガッセKreuzgasse(十字架通り)に入る。その先にラートハウスフラッツRathausplatz(市庁舎広場)がある。

ベルン旧市街の噴水
-アンナ・ザイラーの噴水:1354年ベルンに最初の病院をつくったアンナを記念したもの。(Marktgasse)
-銃士の噴水:甲冑をつけた小熊を両脚にはさんで銃を構えた旗手の像がある。(Marktgasse)
-食人鬼Kindlifresserbrunnenの噴水:にあり、子供数人を左手にわしづかみにしながら、ひとりの男の子をむさぼり食う恐ろしい人食い鬼。(Kornhausplatz穀倉広場)
-ツェーリンゲンの噴水:甲胃をつけた熊がツェーリンゲン家の軍旗を握って立つ。(Kramgasse)
-サムソンの噴水:ライオンの口をこじ開ける巨人が仁王立ちしている。(Kramgasse)
-バナレット騎士の噴水:ハンス・ギーエンク(1542年)の作。(Rathausplatz市庁舎広場)
-バグパイプ吹きの噴水:シュビタールガッセ(病院通り)
-正義の女神像:

ベルンの見どころ
時計塔 Zytgloggeturm
1191年−1250年まで、ベルンの西の境界を示した城門が前身。
力リヨンが、時報の4分前に人形が動きだす仕掛け時計は、大火の後16世紀に造られた。
内部見学ツアーもあり、時計塔の精巧なメカニズムを見学できる。

大聖堂(ミュンスター)Munster/St.Vinzenz
13世紀の教会を基盤に15世紀に大聖堂として着工。
スイスのゴチック様式の大教会の中でもっとも新しい。
一般にミュンスター(大聖堂)と呼ばれているが、実は参事会教会。
1421年に始まった建設は、延々と1573年まで続いた。
スイスで最も高い100mの塔は、1893年にようやく完成した。
正面入口横の『最後の審判』レリーフとステンドグラスは当時のもの。
エルハルト・キュンクの手になるタンパンが、まだいくらか色彩の残る、234もの多くの小像によって「最後の審判」を表している。
神に選ばれた者と地獄に堕ちる者たちの表情がリアルである。
アーチ形曲線に、預言者たちの像。隅切りには、左手に「賢い処女」、右手に「愚かな処女」。ボルタイユの両脇に16世紀初頭のクリザイユ技法のフレスコ画。
正面の右脇門から中に入ってすぐ左手の螺旋階段を270段登ると、塔の上の展望回廊に至る。
赤褐色の美しい瓦屋根のつらなる街、多くの鐘楼や小塔、アーレ川の楕、そして彼方にべルナー・オーバーラントの山並が一望できる。
広大な身廊の天井は網状ボールト。ボールトの要石には、彩色された紋章が描かれている。
内陣に、15世紀の大ステンドグラス。その中央に、ハンス・アツカー作のキリストの「受難」と「礫刑」、さらに「一万人の騎士の勝利」。左側に「東方の三博士」。内陣聖職者席はルネッサンス様式。

熊公園 Barengraben
旧市街の東端にある壕で、ベルンのシンボルの熊を飼育している

市立美術館 Kunstmuseum
14〜20世紀の近代絵画のコレクションのほか、この美術館でとくに見のがせないのは、長年ベルンで暮らしたパウル・クレー(1879−1940)の作品で、クレーコレクションとしては世界一である。
1階の1部屋が、14〜15世紀のイタリアの初期のルネッサンス。ドゥッチョとフラ・アンジェリコ「聖母子像」。さらに15〜16世紀のスイス初期のルネッサンス。なかでも「カーネーションを持つベルンの親方」と「ベルンの親方」は、細密な筆づかいと一種独特のこわばりと素朴さとで印象的。
16世紀を代表するのは、技法、構図がルネッサンス芸術の流れをくむ、ベルンのニクラウス・マヌエル・ドイツチュ(1484頃〜1530)と、ドイツのクラナッハ工房による、ルターと彼の妻を描いた秀れた2枚の肖像画。
その他、イアサント・リゴーや∃八ネス・デュンツなど、17〜18世紀の静物画、肖像画。1階にはさらに、19−20世紀のスイスならびにヨーロッパの絵画も展示されている。
フェルディナント・ホドラーの寓意的テーマのフレスコ画大作(「昼」「夜」)が、彼の風景画(「モン・ブラン河岸から眺めたサレーヴ山」)や肖像画と隣合って並ぶ。スイスでは他に、バーゼルのアルノルド・ペックリン、アルベルト・アンケル、ルネ・オーベルジョノウ。フランスはドラクロワと、印象派のモネ、セザンヌ、マネ、シスレー、ナビ派のボナール。モンマルトルの画家ユトリロ。
2階は、ルオー、スーチーヌ、モディリアーニなどの表現主義とピカソ。1室が20世紀前半の絵画にあてられている。なかでも、激しく暖かい色彩を用いるスイスのクノ・アミエト。ブラック、ピカソ、ジャン・グリス、フエルナン・レジェなどの、一連の立体派。そして、地下の5室にパウル・クレーの豊富なコレクション。ベルン美術館は、2000点をこえるデッサンと、油絵、クワツシュ、水彩画を所蔵し、クレーの芸術を生涯にわたってたどることができる(紙に描かれた作品は交替で展示される)。
色彩効果の探求から生まれた碁盤目の絵(「赤、黄、青の絵の建築」)、点描主義的な作品(「アド・パルナスム」1932年)、図形や記号が彩色されたバックから浮かび出る絵(「岩に咲く花」1940年)。

聖霊教会 Heiliggeist kirche
1726−29年に建てられたバロック様式の教会。

牢獄塔 Kafigturm
マルクトガッセ(市場通り)の入口に立つ門。
この門が1250〜1350年のベルンの西の境界。
18世紀に修復されている。

連邦議事堂 Bundeshaus
フィレンツェ・ルネッサンス風の、この重厚なドーム建築。
平日ガイドツアーがあり、国民議会(上院)や全州議会(下院)をはじめ様々の議場をひとめぐりすれば、スイスの民主制のおおよその仕組力1わかる。

市庁舎 Rathaus
市議会と州議会がここにある。
二重階段と屋根付きポーチを備えた、1406〜17年に建設されたこの市庁舎は、何度も修復をうけているがベルンを象徴する建築物の一つである。

自然史博物館 Naturhistorisches Museum
玄関のロビーに、海生恐竜イクチオザウルスの化石。アフリカの様々な動物がその自然環境とともに展示された、1階のヴァッテンヴィル大ホールがすばらしい。
地下には、アジアの動物のジオラマ。
2階に、ヨーロッパの脊椎動物と、北極地方の哺乳動物の見事なコレクション。クジラの生物学的展示。
3階は、鳥類、爬虫類、軟体動物、昆虫。4階は、鉱物、宝石、石油と水、古生物。

スイス・アルプス博物館 Schweizersches Alpines Museum 
スイス・アルプスの登山と科学的探究の歴史、登山用臭や救命具の発展、高山の地形図などアルプスに関する様々な資料が展示されている。
さらに、山岳立体模型図のスイス最大のコレクション。避難小屋やヒュッテのさまざまな模型。
スイス・アルプスでの人々の生活や、民俗衣装、住居に閲したコーナーもある。

スイス郵便開館 Schweizerisches PTT-Museum
スイス・アルプス博物館と同じ建物の一階に設置。
古代から現代までのスイスの郵便サービスの歴史を、年に1、2度テーマを変えて展示する。
地下に、大規模な切手コレクションがある。

聖ニクラウス教会 Bruder Klausenkirche 
スイスでは「クラウス兄弟」という名で有名な、フリューエFlueの聖ニクラウスに捧げられた教会。鐘塔がぽつんと孤立してそびえる教会は、広大な広場にたつ。きわめて簡素な線を持つこの建築は、スイスの現代芸術の代表的な一例。

ベルン周辺の見どころ
グルテン山 Der Gurten 
標高858m。ベルンから2.5km
ベルンとベルナー・オーバーラントのパノラマがああ一望できる。

エンゲ Enge半島
北へ4km、アーレ川の最初の湾曲部にある。
ヘルヴェティアの古代城塞都市の城壁や1世紀の口一マ遺跡0教会のうしろに、スイスで発見された最も小さい、座席約3000の円形劇場の跡。
1km弱離れた森の中に公衆浴場の跡(屋根でおおわれている)。発掘作業続行中。
(参考資料:スイス政府観光局など)